関西学院大学応援団総部吹奏楽部は、8月11日に三田市総合文化センターで開催された兵庫県吹奏楽コンクールで金賞を受賞し、県代表に選出。続く8月22日に奈良県文化会館で行われた関西大会に出場し、銀賞を受賞した。新型コロナウイルス感染症の影響で、活動を大幅に制限していた同部。短い練習期間を乗り越えての快挙だ。
7月中旬までは、キャンパスに入って練習することさえできなかったという。「それでも、コンクールに出場しないという選択はしたくなかった」と、商学部4年の上酔尾ももこ部長は話す。「出場しないのは、後輩に申し訳ない気持ちがあった。昨年度はコンクール自体が中止になっている。部員の成長のためにも、出させてあげたかった」
数十人で演奏をする吹奏楽は、対面での合奏練習が欠かせない。しかし、管楽器の演奏時には、飛沫(ひまつ)感染の危険も高く、練習の許可は簡単には下りない。春は感染症対策のガイドラインを何度も修正し提出する日々だった。順調に活動している他団体を見て、悔しい思いをしたこともあったという。
ようやく合奏練習が許可された時には、コンクールまで1カ月を切っていた。パーティションの設置、換気や手洗いを実施しながら、ガイドラインに沿って練習に励んだ。コンクールまでの期間は、密度の濃い練習が求められたと上酔尾部長は語る。「十分な練習時間を取ることができない分、指導されたことをその場ですぐに消化しなければならなかった。レベルの高い合奏が求められた」
迎えた本番。結果にこだわっていたわけではなかったものの、金賞と聞いた時は喜びを感じた。上酔尾部長は「部員が頑張ってくれたおかげ。みんなを誇りに思う」と笑顔で語った。
困難な状況を乗り越え、周囲への感謝の気持ちも強くなった。舞台で演奏するまでにたくさんの人に支えられていることを、改めて実感したコンクールだった。
今年度の吹奏楽部のスローガンは「つなぐ」。音楽を通して、人や歴史、部員一人ひとりの成長をつなぐという意味が込められている。「コンクールに出場できたことで、一つ歴史をつなぐことができたと思っている。次は11月の定期演奏会に向けて頑張って、後輩たちに歴史をつなぎたい」(前田瑞季)