(タイムスリップ)奥田明さん「障害をもつ人々が暮らしやすい環境へ

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 重度の障害をもつ人々が通う西宮市独自の施設である青葉園。ここで事業課職員として活動に取り組んでいるのは関西学院大学人間福祉学部社会福祉学科の卒業生である奥田明さん(30)だ。

 奥田さんは「福祉の勉強をしたい」という思いと、スクールモットーとして「奉仕のための練達」を掲げる校風に引かれ、関西学院大学を受験した。人間福祉学部の松岡克尚教授のゼミに所属し障害者福祉を専門に学びを深めた。

 最も印象に残っているのは「障がいとは何か」を考える授業である。医学的な面から見た障がいと、社会的な面から見た偏見やバリアフリーでないことの障害。「障害」という一つの言葉で表されていても様々な観点からの見方があると知り、視野が広がったという。

 現在は青葉園で重度の障害をもつ人々のサポートに取り組んでいる奥田さん。園ならではの複数人で行うゲームやコミュニケーションを通して、1対1のやりとりでは見られないような利用者の表情が見られることに喜びを感じると語る。そして、利用者それぞれで体の動きやコミュニケーション方法が異なるため、どのように関わっていけば相手にとって最善なのか時間をかけて模索している。

 奥田さんは「まだまだ自分は足りていないことが多すぎる」と話す。個人としては利用者の方々の体の動きをしっかり学ぶこと、園の活動としては皆で一緒に楽しみ、利用者の方々と共に色々な体験をしていくことを目標にしている。

 また、奥田さんは重度障害者向けのグループホーム創立を目標に掲げている。障害者向けグループホームとは、障害をもつ人々が生活や健康面でのサポートを受けながら少人数で共同生活を送る住宅のことだ。

 奥田さんは「皆が皆一人暮らしを望んでいるわけではない。他の人の気配を感じながら自分のペースで生活したい人や、ある程度生活リズムが決まった生活を望んでいる人に応える環境が求められている」とグループホームの必要性について述べた。

 重度障害者向けのグループホームはケアが難しい点から他のグループホームに比べ、現在は数が少ない。新たにグループホームをつくれば、自らの希望に沿った生活を送ることができる人々が増えるだろう。

 奥田さんはこれからも障害をもつ人々の心に寄り添い、サポートに取り組んでいく。(石黒和加奈)

青葉園で障害者のサポートをする奥田明さん=本人提供

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