ChatGPTの弊害、AIに依存しない「考える」能力を

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 生成AIの活用法を間違え、大きな失敗を犯してしまう事態が発生した。アメリカニューヨーク州で民事訴訟を担当していた弁護士が、準備書類に存在しない判例を記載し、提出してしまったのだ。書面の作成から、記載した判例の真偽確認までChatGPTに頼ってしまったのが原因だった。

 ChatGPTはOpenAI社によって昨年11月に公開された人工知能チャットボットだ。人間と遜色ない回答を作り出し、従来のAIよりはるかに自然な対話能力を持つ点が特徴である。多言語の翻訳やデータ分析、プログラミングなど専門的な分野にも活用でき、大きな話題を呼んだ。

 一方で生成AIを危険視する意見もある。その一つが大学におけるレポートの執筆だ。人間が書いたように文章を生成できる機能を悪用し、ChatGPTにレポートを書かせるという不正がたびたび報告されている。多くの大学は、こうした不正を未然に防ぐため、学生に生成AIの取り扱いを示している。関西学院大学は学生の意図しない剽窃・盗用、学習効果が薄くなることを懸念しており、利用する範囲を慎重に判断するよう学生に注意を促している。

 自ら考え、論理的に組み立て、効果的に伝える。レポートの執筆は、この能力を鍛える良い機会だろう。ただAIにすがるような使い方では、自ら考える力を失ってしまうのではないだろうか。今一度、AIとの向き合い方を考えていかなければならない。

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