(教授の背中)人は生まれないべきなのか 反出生主義研究会

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 関西学院大学神学部の濱崎雅孝先生は、キリスト教批判を通してキリスト教の真実を探す研究をしている。

 濱崎先生は「反出生主義研究会」を結成した。反出生主義とは、子供が生まれてくることが倫理的に良くないことだと主張する思想のことだ。反出生主義研究会では、反出生主義に関心を持つ学生が、読み込んだ本を資料にまとめて発表し、ディスカッションするという活動をしている。

 濱崎先生は反出生主義研究会を結成する以前、ある深刻な問題を抱えたひとりの学生に出会った。その学生は「今にも死んでしまうのではないか」と心配するほどの精神状態だった。この学生との出会いを機に、濱崎先生は学生が深刻な問題を自分の頭で考え、克服することができるきっかけを作りたいと考え、研究会の結成に至った。

濱崎先生は反出生主義研究会を主催しているものの、反出生主義的な思想に批判的な考えを持っている。濱崎先生は「傷の舐め合いのような会にはしたくない」と述べた。辛いことがあったとき、反出生主義的な悲観的な気分になるのは当然だが、大事なことはその状態からいかに脱出するかだ。

 その答えの鍵になるのはフランスの小説家であるアルベール・カミュの「シーシュポスの神話」だ。「シーシュポスの神話」にてカミュは「不条理に対する反抗」を主張している。それは「人生は不条理だから生きる意味がある」ということだ。

 濱崎先生はカミュの言葉を参考にして「人生に苦しみがあるから人生に意味がないということにはならないし、生きない方がいいということにもならない」と主張した。

 反出生主義研究会は現在もメンバーを募集している。題材となる本は難解なものも含まれるが、だからこそ大人数でディスカッションすることに意義が生まれる。哲学が好きな人や読書が好きな人、そして人生に思い悩んでいる人は参加してみてはいかがだろうか。   (山本麻衣子)

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