阿部教授の写真=本人提供
関西学院大学社会学部の阿部潔教授はメディア・コミュニケーション学を研究している。メディア・コミュニケーション学とは、メディアが社会で果たす役割について研究する学問だ。
阿部教授が社会学を志したきっかけは、教授自身が中学・高校時代に受けた厳しい校則や体罰による管理教育だった。阿部教授はその環境に対して、複雑な感情を抱くとともに好奇心を持った。そこで大学に行く際、管理が当たり前になされる社会について研究したいと思い、社会学を学ぶことを決めた。
主な研究対象は、メディアが作りあげるパブリック(公共的なもの)と、そこにおいてメディアがナショナリズムに対して果たす役割(あおる、鮮鋭化させる)だ。その具体的な事例として、主にオリンピックを取り扱っている。
阿部教授は、東京オリンピックが開催された1964年に生まれた。そのため常に教育の中でオリンピックに触れる機会があり、スポーツをすることも見ることも好きな子どもだった。 一方で、学校教育の中での子ども達はいまだに校則や体罰の中でスポーツを行っている。また、オリンピックのメディア報道はスポーツそのものよりも国が勝つことに焦点を当てている。そのため、国を背負いメダルを取らなければならないプレッシャーに苦しむ選手が存在する。阿部教授は「そもそもスポーツとはなにか」との問いの元でこれらを疑問に思い、研究に取り組んでいる。
阿部教授のゼミでは、学生の主体性を重視している。阿部教授は「すでに自分の知っていることを聞いても面白くない」と考える。自身の研究テーマを学生に強制するのではなく、多様な分野の学生を歓迎し、知らない分野は学生から教わりながら、一緒に研究を楽しんでいる。
阿部教授は「ゼミでは知識を受動的に学ぶのではなく自分たちで考えることが必要だ」と語る。教授がオリンピック研究を始めたように、学生自身が最終的に何をしたいのか、何を学びたいのかを改めて考えてゼミを選んでみてはいかがだろうか。 (久保田創士)