人間の価値とは、何によって決まるのだろうか。性格か、財力か、はたまた顔か。一考してみてほしい。その回答というのは人それぞれだろう。映画「SKIN 短編」に登場する人物の回答は「肌の色」であった。
「SKIN 短編」は、2018年に公開したガイ・ナッティヴ監督による、アメリカ社会を舞台とした20分程度の短編映画だ。この映画の主題はそのタイトルが示すように、人種差別への問題提起である。物語は黒人に対して強烈な差別意識のある白人の父を持つ少年の視点から、人種差別により引き起こされる悲劇を描いている。
少年の一家は、極めて凡庸ながら幸せで満ち溢れていた。両親の愛情を受け、素直に育っていく少年の姿は、その後に待ち受ける不幸の影など微塵も感じさせない。
事件は少年一家がスーパーから帰る際に起こる。そこに偶然居合わせた黒人男性の行動が少年の父親の気に障り、父親はその男性に対して差別用語を使用し罵倒するのだ。この出来事が引き金となり、父親と黒人男性、ひいては白人と黒人の間の憎しみの連鎖が加速していく。
この映画は短い上映時間にも関わらず、人種差別の愚かさを観客に強く訴えかける。それを受け止め、衝撃のラストシーンを目撃した後、もう一度自分自身に問いかけてほしい。「人の価値とは、何によって決まるのだろうか」と。(宝本拓夢)