「スマートで、おしゃれで格好いい。関西で進学するならここしかなかった」。関西学院大学法学部に入学した。
大学ではアメリカンフットボール部に入部した。4年生の夏の大会で米国の大学とチームを組んだ。練習を共に重ねる中で「弁護士になるために4年間勉強する」、「これから6年間メディカルスクールに通う」と話す同学年の米国人学生に衝撃を受けた。「自分たちはもう大学を卒業するというのに、彼らは『今からが本当の勉強だ』と言う。これでは勝てん」と差を痛感した。
米国人学生との出会いにより、勉強への意欲がより高まっていた。卒業後はいったん文具メーカーに就職し、1997年には同大学の商学研究科に入学。仕事を続けながら、夜は大学でマーケティングの理論を学んだ。「理論と実務を行ったり来たりしていた。理論を学びながら、それを職場で応用することで新しい発見にもつながった」
2012年から経済学部、13年から総合政策学部でマーケティング論を学生に説いている。講義では、ゲスト講師を呼んだりケーススタディをしたりすることで学生が関心を持つように工夫しているという。「リアルな現場がどう仕事しているのか知ってもらう。そこで理論と照らし合わせ学んでいく」と話す。
営業職の役割を疑似体験するロールプレーでは「(営業職)のつらい、大変というイメージから、自分たちのスタイルや経営において無くてはならない仕事というイメージに変わった」や「商品やサービスを見る目が変わった」という感想が学生から聞かれる。「固定観念が変わっていく感覚がうれしい」と目を細める。
今年からハンズオン・ラーニングセンター(HoLC)の准教授になった。大阪・上本町などをフィールドに学生それぞれが課題を見いだし研究する。「自分に問い掛けながら考え抜いていく。価値観の矛盾なんかも出てくると思う。それを大切に受け止めて一緒に考え続けていきたい」
「(学生は)自分たちが主役なんだという意識を持って、新しいことをしていかなあかん。そう思うために自分たちがちゃんとせなあかんという気持ち」だという。学生と深い関わりを持ち研究を進めていく。(林昂汰)