(教授の背中)総合政策学部・斉藤憲晃教授 激動のインドネシアを体感 都市空間を研究

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 関西学院大学総合政策学部都市政策学科の斉藤憲晃教授は、都市の住宅政策や都市空間のコントロールについて研究している。住民が住みやすいように、都市空間がどう操作されているのか、という問題を扱う。

 京都大学大学院工学研究科を卒業し、建設省(現国土交通省)に入省。入省後は英国やインドネシアを訪れ、両国の住宅政策について研究。2009年に関西学院大学に赴任し、現在は居住政策論や都市マネジメント論の講義を担当している。

 教授は、インドネシアでの経験が転換点となった。国際協力機構(JICA)の住宅政策の専門家として1990年代後半から約3年間インドネシアで働いていた。

 最初に苦労したのは言語だった。当時は現在と違い、手軽な翻訳ツールが無く、インドネシア語を使いこなすのが大変だった。辞典を職場に1冊、家に1冊、車に1冊の計3冊所有し、分からない単語があればすぐに調べられるようにしていた。

 また、当時のインドネシアはアジア金融危機の真っただ中だった。インドネシアは多くの債務を抱え、国際通貨基金(IMF)の命令により厳しい緊縮政策を強いられていた。そのような財政の流れの中でインドネシアの住宅制度も大きな転換点を迎えた。金融危機より前は、低所得者層への住宅の供給を主に国営企業が担っていた。金融危機後は政策を変更し、民間企業の役割が増加するシステムになった。

 「当時のインドネシアは激動の時代で変革の時期。その時にインドネシアにいたことは自分に影響していると思う」

 現在まで、インドネシアや英国、日本の住宅政策を比較、研究してきた。その中で一見理想的に見える制度にも必ず問題があることを実感した。その経験から「表層だけを見ず、内に入り込んで見ることで、本質をつかみ取ることが大切だ」と語った。(小林彩乃)

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