関西学院大学経済学部の安岡匡也教授は、年金や子育てといった社会保障制度が抱える問題について研究している。具体的には、年金や子育て支援策、少子化に伴う様々な問題を扱う。
大学時代には、年上の人と接する機会が多く、自分の世界が広くなったと語る教授は、在学中に受講したマクロ・ミクロ経済学に興味を抱いた。当時社会問題となっていた少子化について経済的な観点から更に深く勉強するため神戸大学大学院経済学研究科に進学した。
大学院ではマクロ経済学を中心に、社会保障や財政について研究。2013年から関西学院大学に赴任している。
安岡教授の転機となったのは、「可愛くて仕方ない」と語る、現在2歳と5歳になる自身の子供の誕生だった。
以前は少子化について「社会保障の支え手となる若い人を増やす」といった、システム的な見方をしていた。しかし、子供が生まれてから育児の大変さを経験したことで、より実感のある見方を持つようになった。「待機児童といった問題に、金銭面だけではなく、より暮らしに寄り添った支援策を」。子育てをしたい人が子育てしやすい環境を作ることが重要であると強調した。
現状の社会保障制度は、すべての人にとって使いやすいものではないという安岡教授。障害者といった通常の支援では足りない人にとっても便利に使える保育サービスが必要だと語る。いくつかの市町村団体では、子育て支援に積極的な政策を打ち出しているが、国全体の政策に影響を及ぼしていないと考える。
「社会保障制度とは、人々が苦しんでいる時に使えるもの。苦しんでいる人が、スムーズに利用できるようにしてほしい」と、強く主張した。(岡﨑亮太)