車椅子利用者システム「アンサーユー」が、8月1日から関西学院大学西宮上ケ原キャンパスの大学図書館で始まった。全国の大学図書館では初の試みとなる。介助を求める利用者が、館内24カ所に張られたQRコードを専用端末で読み取ると、自分の居場所が施設スタッフに通知され、必要なサポートを受けることができる。車椅子利用者にかかわらず、松葉づえ使用者など不自由がある人は誰でも利用可能だ。
「アンサーユー」を導入した経緯について、大学図書館利用サービス課の鎌田真也さん(43)は「夏のエレベーターの改修工事で不自由を感じる人が出るのではないかと考えたのが始まり」と語る。同時期に西宮市内の公共図書館にて「アンサーユー」が利用されていることを知り、導入に踏み切った。
図書館は全面開架式で、約150万冊もの本を実際に手にとってページをめくることができる。その反面、車椅子利用者には手の届かない棚もある。「アンサーユー」の導入により、車椅子利用者のみならず助けを必要とする全ての人に利用してもらえることで、図書館の新たな改善点を知ることにつながり、多様なニーズに対応できるようになった。
同課の渡辺毅さん(62)と竹村眞衣さん(46)によると、システムの導入に当たっては、施設スタッフが知らせを見落とすことがないように、ブザー音の高さやQRコードの配置場所を含めて試行錯誤を繰り返したという。
鎌田さんは「多様性を大事にしている大学であり、図書館だからこそ実現できたサービスだと感じている」と振り返った。
今後は、西宮聖和キャンパスと神戸三田キャンパスそれぞれの図書館への導入も検討している。(武田裕貴)