ジャーナリストの池上彰さん(70)が先月10日、関西学院大学神戸三田キャンパスで「大学時代に何をするべきか」をテーマに講演した。対面で約240人、オンラインで約400人の学生が参加した。
今回の講演は、同キャンパスの理系4学部(理学部、工学部、生命環境学部、建築学部)の再編を記念したイベント。
池上さんは、大学時代に教養を身に付けるべきだとし「今まで学んできたことを使えるかが重要」と話した。「知識や常識の運用力が、うその情報かどうかを見極める力になる」と学生に説いた。
学問への向き合い方にも言及した。人工知能(AI)を例に「研究や技術開発は理系、利用することでどのように弊害が発生するのかを考えるのは文系の分野。実際に使う際には両方について知っていないといけない」と語った。
外出自粛によって自由な時間が増えたことにも触れ「コロナ禍を新しいことを生み出す『創造的休暇』として過ごしてほしい」と促した。「学生運動によって入学後すぐには授業を受けられなかった。その期間に読書したことで、独学の力が身に付いた」と自身の経験を語った。
講演会に参加した総合政策学部3年の男子学生は「(文系である)自分自身、物事を論理的に考えることが苦手なので、訓練したい。他の学生にはない強みになる」と抱負を語った。(西村遼、吉原未来)