昨年大麻で検挙された大学生は全国で219人となり、5年前の約5倍。国内の薬物乱用検挙者数は減少しているが、大学生の大麻関連の検挙者が増加している。
東京都世田谷区の路上で6月11日、関西学院大学の学生(18)が大麻を所持していたところを現行犯逮捕された。
大麻などの薬物は心身に多大な影響を与えるため、法律でも厳しく規制されている。関学生が大麻の所持に至った経緯や原因を究明し、再びこのような事件を起こさせてはいけない。
2008年、関学では元学生(後に自主退学)や教職員らによる複数の薬物所持事件が起きた。事件を受け、翌年、関西の4大学(関西大、関学大、同志社大、立命館大)は薬物乱用防止に関する共同声明を発表した。
4大学は声明内の活動の一環として、毎年新入生に対し、薬物に関する意識調査を実施している。調査の結果を見ると、学生の薬物に対する認識の変化や課題が浮かび上がる。
まずはインターネットに掲載される薬物に関する情報の多さである。20年度の調査によると、薬物を入手可能と回答した人のうち、入手可能だと考えた理由として「インターネット上で薬物を見たことがあるから」と回答した割合は5.3%と、15年度の3.4%から約1.5倍に増加。
他にも薬物を使う人が増えている理由として「インターネットなどに薬物を使ってみたいと思わせるような情報が載っているから」と回答した人の割合も増加している。
また、薬物に関する相談窓口の認知度を高めることも課題だ。薬物に関する相談窓口を知っているかという問いについて、半分以上が「知らない」と回答した。「知らない」と回答する割合は減少しつつあるが、認知度は十分ではない。相談窓口は、薬物によって道を踏み外しそうな時に助けになってくれる存在である。今後もその役割を認識し、相談窓口に携わる保健館などの機関や団体は周知活動をこれまで以上に行っていかなければならない。
関学で薬物乱用に関する事件が再び起こってしまった。もはや他人事とは言えない事態にある。薬物を許さないためにも、一人ひとりが薬物に関する意識をもう一度、見直すべきである。