阪神タイガースで外野手として活躍したマット・マートン氏の講演会が、昨年12月8日、関西学院会館で開催された。会場に設けられた座席が埋まり、立見席が設けられるほどの人気ぶりだった。
「BEYOND THE GAME―人生を支えるもう一つの軸」と題された講演は、マートン氏による4部構成のトークショーと質疑応答という形式で行われた。
アメリカンフットボ―ルのコーチをしていた父の影響もあり、スポーツが好きだった幼少期、6歳の頃から野球を始めた。その後、16歳でナショナルチームに所属し真剣に野球に取り組み始めたマートン氏。全国優勝という輝かしい経験が、彼のメジャーリーガーの夢を近づけたかのように思えた。
ただ、現実はそう甘くはなかった。憧れだったメジャーからは声がかからず、大学に進学することを真剣に悩んだという。しかし「継続することを諦めない」という姿勢で根気強く努力を続け、アメリカンリーグの名門球団、レッドソックスからドラフト1位指名を受け、憧れだったメジャーリーガーになることができた。
その後のメジャー生活をマートン氏は「変化球」と評した。2007年のプレーオフでスタメンとして出場したにも関わらず、翌年の開幕はマイナーに降格。その後、メジャーに復帰するも山あり谷ありの生活を過ごした。
2009年、マートン氏にとって最も大きい転機が訪れる。阪神タイガースへの移籍だ。当時所属していたロッキーズのGMからの電話に一度返事を保留した。ただ、妻からの勧めもあり「神の計画を信じてついていく」と決心したマートン氏。11年のオフシーズンには、その活躍から海外からのオファーもあったが、阪神に残る決断を下した。
通算6年間プレーをした阪神タイガースでは、当時イチロー氏が記録していたシーズン最多安打記録を更新するなどチームの主軸として大活躍を見せた。
そんなマートン氏は引退後も足しげく日本に通っている。そこには、日本でお世話になった人々への恩返しの想いがある。マートン氏は日本について、「人生はお互いが支えあうことで成り立っている。日本は神様に愛されている国だと思う」と述べた。
マートン氏は人間には二つの共通点があると語った。ひとつは、周りからのサポートが必ず必要だということ、もうひとつは、人生は簡単ではないというものだ。人間が生きていくうえではお互いの支えが必要であり、これは神様からのプレゼントだとマートン氏は語った。

講演を通して「継続して諦めないこと」「神様を信じること」を繰り返し語るマートン氏。そこには、クリスチャンとしての他者への隣人愛の姿勢がにじみ出ていた。
(山下結大朗)
