(タイムスリップ)写真家・犬塚雅晴さん 目には見えない絆や愛情を写真で表現

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 「一枚の写真に目には見えない絆や愛を表現する」。西宮神社近くの写真館「いぬづか写真室」(西宮市社家町)社長の犬塚雅晴さん(59)が写真を撮り続ける意味だ。

 犬塚さんは1980年、関西学院大学経済学部に入学し、体育会陸上ホッケー部で汗を流した。同学年の友人らが就職活動をする頃、犬塚さんは体育会の先輩が勤める大手企業への勧誘を頻繁に受けていた。しかし、写真館の創業者である父親に説得され、民間企業の内定を辞退し、仕方なく写真館を継ぐことを決めた。

 大学卒業後、写真の技術と知識を身に付けるために東京工芸大学短期大学部の写真技術科に入り直した。同時期、大学時代の友人の多くは東京の大手企業で働き始め「自分たちが日本の社会を支えている」という雰囲気が伝わってきたという。写真家の仕事に女々しさや弱々しさを感じていた犬塚さんは、劣等感を抱いた。

 犬塚さんが仕事に対する考え方を変えたのは90年代。貧困やエイズといった地球規模の問題が報道される中、ある社会学者が「世界中の人々が親子の絆を感じれば、今地球上で起きている全ての問題が解決する」と語るのを目にした。

 犬塚さんがそのことを実感したのは、97年にタイガー・ウッズが男子ゴルフのメジャー大会「マスターズ・トーナメント」で優勝し、父親と抱擁を交わしたシーン。親子の絆には世界中の人々を感動させる力があると感じ、父親から受け継いだ写真家という仕事で、親子や家族の絆を表現する写真を撮ることに意味を見いだした。

 犬塚さんは、フレームの外にある親子や家族の関係性を感じられる写真の撮影を心掛けてきた。犬塚さんは、実力を世界中の人々が認め、優れた写真家に贈られる全米プロ写真家協会(PPA)の「マスター・オブ・フォトグラフィー」を関西在住の写真家で初めて受賞。コロナ禍の今でさえ、犬塚さんが撮る写真を求めて平日でも10組の予約が入る。

 犬塚さんは学生に向けて「関学の校章は三日月だが、丸い月が光の当たり方で欠けて見えるだけ。光が当たっていない部分に秘めている可能性を表に出せるよう、努力を続けてほしい」とメッセージを送った。(川本暖乃)

犬塚雅晴さん=いぬづか写真室提供

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