
カレーライスの用意をする藤橘勇人さん=3月19日、小浜ミニシアター、石岡孝憲撮影
関西学院大学の学生が主体となって運営しているボランティア団体「クマの学食」は宝塚市を拠点に週に一度、子ども食堂を開催している。子ども食堂とは、主に子供に向けて無料で食事を提供する社会活動である。

クマの学食は小学生から高校生までの幅広い年齢の子どもを対象に、協賛企業から提供されたカレーライスを振る舞っている。子供たちはカレーが用意されるまで互いに会話を交えつつそれぞれの学習課題に取り組む。

クマの学食創設メンバーの1人である藤沢陽さん(法学部卒業生)は設立のきっかけについて「子供食堂の知名度が上がるにつれて、貧困理由以外では訪れてはならないと人々が錯覚しているように感じた」と子ども食堂の知名度上昇による行きづらさを述べた。

続けて「クマの学食ではより多くの子どもが利用できるように食事場所だけでなく勉強場所としての役割もある」と強調した。参加した小学生の1人も「カレーがおいしくて参加しているが、友達と話せることもクマの学食に来るモチベーションになっている」と笑顔だった。

現在クマの学食の利用人数は一度の開催で40人以上に及び、藤沢さんは気軽に訪れることができる子ども食堂の実現に自信をみせている。

しかし、クマの学食には訪れた子供が直面している虐待やイジメに大学生がどこまで踏み込むべきかという問題が新たに浮かび上がっている。藤沢さんは「宝塚市の児童相談センターと連携するなど行政の力を借りて対処している」解決策を口にした。

クマの学食は活動を共にする大学生を増やすため、単発で参加するメンバーを現在募集している。創設メンバーの1人である藤橘勇人さん(法学部卒業生)は単発参加という画期的な取り組みについて「ボランティア団体に入るのは敷居が高いと思う。しかし単発参加はその日だけの活動なので、気軽に参加して欲しい」と話した。

最後に藤沢さんはクマの学食の今後について「クマの学食を利用してくれた子供たちが大学に進んだ後、今度は子供たちを見守る大学生としてクマの学食に参加して欲しい。宝塚市でクマの学食を中心とした循環するコミュニティーを作るのが夢だ」と長期的な展望を語った。
(石岡孝憲)
