幼少期から続けているエレクトーン、コンテスト前に捻挫してしまった際には割り箸で指を固定しながら演奏した。中学から高校までの6年間は、部活動の陸上競技で走る日々。彼女の強みである「粘り強さ」の所以はこれらにあるのかもしれない。関西学院大学社会学3年の田中友梨奈さん(21)はアナウンサーを志している。
話すことが好きでアナウンサーを目指すものの、高校時代は自分には手の届かない夢だと感じていた。友人たちに告げることも照れくさくはばかられた。関西学院大学、特に社会学部はアナウンサーを数多く輩出している。関学大への進学は、田中さんにとって夢への第一歩だった。
大学生活においては、現在フジテレビのアナウンサーとして活躍し、自身と同じ関学大社会学部の卒業生でもある永島優実さんを指標にした。しかし、感染症が猛威を振るい、地元福岡からオンライン授業を受けるばかりだった。なかなか夢に近づけない中、二つの出来事がアナウンサーを「憧れ」から「かなえるもの」へと変化させた。
一つ目は、今宮戎神社が募集する福娘だ。「せっかく関西の大学に進学したから」と応募することにした。自分以外にもテレビの世界を目指すたくさんの人に出会うことができた。これが刺激となり、アナウンサー就活に向けて本格的に動き始めた。
二つ目は元マラソン選手で、現在はレース解説者など多方面で活躍する増田明美さんとの対談だ。アナウンサーを目指すにあたり、どうにかしてアナウンサーや解説者の話を聞けないかと模索していた。自身も陸上競技部だったことからマラソンの解説で活躍している増田さんにダメ元で依頼を送ると返信はまさかの承諾だった。
増田さんは、選手のことを一番理解しているのはやはり両親だと話したという。「選手たちがウォーミングアップを終え競技場に向かう際に、関係者が声援をかける場所がある。そこで選手の両親を覚えて後ほど取材する」。オリンピックの裏話を含めたくさんの話を聞くことができ、田中さんにとって貴重な経験になった。
「自分から声をかけに行くことの大切さを増田さんから改めて学んだ」と語る田中さん。また、「学生だからこそ、無茶なお願いでもできたのだと思う」と振り返った。
最後に田中さんは、アナウンサーになった後の夢として「大好きなマラソンの実況者になりたい。マラソンは陸上に詳しくない人からするととっつきにくいと思う。選手のスピード感や熱いドラマがあるのだと私の言葉で伝えたい」と掲げた。
この春関学大に入学した新入生たちは「関西学院大学に入る」という一つの夢をかなえた人たちなのかもしれない。しかし、その先の夢も見つけ出し、実現に向けて踏み出していってほしい。(西本明日華)