「同性の恋人との関係を大学でもオープンにしたいけれど怖い」
「大学に入った区切りで自身の性について周りに話すべきなのか」
これらは「Save Queer From Suicide」という団体に寄せられたクィアである関西学院大学の学生の声だ。
クィアとは、性的マイノリティや既存の性のカテゴリーに当てはまらない人々の総称である。現在、クィアの自殺率の高さは世界的な問題になっている。一方、日本国内でその問題に対する具体的な取り組みや言及は少ない。
「Save Queer From Suicide」はクィアの自殺志望者の逃げ場所として2019年7月からSNS上で活動している。立ち上げたのは西村空さん(20)だ。運営のすべてを西村さん1人で行い、相談者にとって安心できる環境を保障している。
主な相談者はクィアである当事者やその家族。この活動の意義は当事者が「答え」を出すことではない。心の中にある悩みを他者に話すことで、一度悩みを客観視する。その機会が、多くの人の避難場所としての役割を果たす。
西村さんは「活動時は『クィア』や『LGBTQ』という言葉の意味理解だけにとどまらせないことを大切にしている」と話す。
クィアもLGBTQも食の好みの差と同じ。適度な距離感で干渉しすぎないことが、クィアにとっての「生きやすさ」につながる。感情に答えを見つけようとせずに、「受け止める」と「受け流す」のバランスを保つ。それが、「ありのままの自分でいられる社会」を作るための第一歩となる。 (山本紗佑里)