大宮有博教授=2026年2月13日、西宮上ヶ原キャンパス法学部棟、仲悠士撮影
「人文知は社会を分析するための光」と法学部宗教主事の大宮有博教授は語る。
大宮教授が研究する分野のひとつに新約聖書学がある。イエスやパウロがどのように世の中を見て、批判したのかを通して、今の世の中で何が変わらなければならないのかを考えるために、新約聖書を研究している。新約聖書学のみならず文学において、「読む」という行為は「変わる」という行為だと大宮教授は語る。読むだけで完結するのではなく、ものの見方や考え方が変わることも含めて「読む」という行為だ。
新約聖書学を含む宗教学は社会を分析するための光のようなものだと大宮教授は語る。人間の宗教的な営みを観察、分析する宗教学をはじめとした人文知は人間の心情に焦点を当てている。人間社会を分析するときは、制度だけを分析するのではなく、人間の心情も考慮することが不可欠だ。これが、人文知が社会を分析する他の学問に光を与えていることだと大宮教授は強調した。
また、取材では大宮教授の経歴についても伺った。大宮教授は高校生のとき、「ずっと勉強しないままではいけない」と思い、アメリカに留学した。2年間留学してアメリカの高校を卒業した。アメリカの高校で、勉強のやり方が分かるようになったと大宮教授は振り返る。留学をしていなければ教授にはなっていなかったと言うほど大きな経験だった。
日本に帰国した後、大宮教授は社会福祉について学びたいと考えていた。さらに、アメリカで教会と社会福祉が密接であることを知り、教会の牧師になりたいとも思ったため、他学部の授業も受けられる関西学院大学神学部に進学した。大学3年生くらいから神学がより面白くなり、研究者という進路も選択肢の一つになった。
その後、大学院に進み、6年間留学し、博士号を取得した。帰国後は、高校や他大学に勤め、2016年に関学大法学部の教授となった。
大宮教授は新約聖書を「読む」ことで、環境問題とキリスト教シオニズムの問題に取り組んでいる。キリスト教シオニズムとは、聖書の言葉を使い、イスラエル国家を支持する考えや動きのことだ。社会では、悪事を宗教の言葉で正当化することがある。大宮教授は適切な聖書の解釈を研究し、それを社会に訴えることに注力している。
関学大では、キリスト教主義教育を展開している。これについて、大宮教授は社会の役に立つだけではなく、社会の進歩や幸福から零れ落ちてしまった人たちを見出し、その人たちに貢献する人材を育てる教育だと位置づける。その上で、各学部の専門領域とキリスト教学の授業が結びついていくと、より良いと強調した。
最後に、関学生に向けて、「入学したときと卒業したときで、考え方が変わるような4年間を送ってほしい。そのために、本当に教室にいるだけでいいのか考えてほしい」とメッセージを送った。
(仲悠士)
