
2025年大阪・関西万博に出展中の「フィリピンパビリオン」が、来場者から注目を集めている。

今回、弊部はパビリオンマネージャーのマルガリータ・サン・ホセさんに話を伺った。
フィリピン館の出展目的は、フィリピンをアジア太平洋地域における主要な観光地、そして投資の拠点として発信すること。準備段階では時間や労力、物流面で大きな挑戦があった。特に、外観を飾る212枚の手織り布の展示は、国内各地の職人による過去最大規模の協働であり、良い意味で「難しくも価値ある挑戦」だったという。

館内では、18地域を表現した大規模な手織り作品のほか、AIフォトブースや「Dancing with Nature」と題した体験型展示、伝統舞踊やフィリピン料理、伝統マッサージ「ヒロット」の体験など、多様なプログラムが揃う。来場者が五感を通じてフィリピン文化の温かさや創造性を感じられる工夫が施されている。

パビリオンマネージャーのお勧めは、15分間体験できるヒロット。「先祖代々受け継がれてきた独自の療法で、多くの来場者が体験を希望して行列ができるほど人気です」と話す。また、冷たいドリンクやかき氷「ハロハロ」など、日本の夏に合わせたメニューも提供している。
若い世代に注目してほしいのは、AIや映像を駆使した展示だが、同時に伝統織物の背景にある物語も伝えたいという。
館のテーマは「自然・文化・共同体―よりよい未来をともに織りなす」。テクノロジーを取り入れながら、自らのルーツを理解し未来へつなぐ姿勢を示している。

来場者との応対で印象的なエピソードとして、手織り展示を見た来場者が「今すぐフィリピン旅行を予約したい」と話し、具体的な旅程を熱心に質問したという。観光促進という大きな目的が達成できた瞬間だった。
来場者は日本人が中心だが、在日フィリピン人や外交関係者、他国パビリオンの関係者も訪れている。館長は「観光・貿易・投資の拡大に向け、ここで築いたつながりを将来の協力関係につなげたい」と万博参加の意義を語った。

鮮やかな展示や温もりある空間に触れることで、来場者はフィリピンの魅力とともに、持続可能な社会の在り方を肌で感じられる。
(田爪翔)

