“自分が万博を携わっている” 関学生の万博ボランティアの目線から

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 「まるで世界旅行のようだった」。大阪・関西万博の会場ボランティアで来場者に道案内をする稲畑優貴さん(文学部3年)は、万博会場に初めて訪れたときの感想をそう振り返る。ボランティアとしてネイビーを基調とした公式ユニフォームに袖を通し、タブレットを手に、国内外の人々とコミュニケーションを重ねた。

 彼が担当したのは、会場内での「エリア活動」。4、5人のチームを組んで来場者の案内をする。トイレや喫煙所、パビリオンの混雑状況などを尋ねられ、時には英語で応対する場面もあった。予想以上の多様な質問や文化に触れる日々に、「自分が思っていた以上に、世界が大阪に集まっている」と実感したという。

 ボランティアに参加したきっかけは、高校時代に出会った留学生の言葉だった。「東京五輪でボランティアがしたい」。異国から来た友人の姿勢に影響を受け、「自分も大きなイベントに関わってみたい」と思い立った。

 現場で印象に残っているのは、同じエリアで活動していたボランティアの存在だ。「道案内用に自作のマップを作っていて、その熱意に驚いた」。中高年層が多い中で、大学生の参加者は比較的少ない。だからこそ、「担える役割はある」と意識するようになったという。

 活動を通じて、自分の未熟さにも気付かされた。初めは戸惑いも多く、「もっと事前に調べておけばよかった」と反省。その後はボランティアの研修動画を見直し、スムーズに案内できるよう準備を重ねた。

 「ボランティアって〝助ける側〟というイメージだったけど、自分が学ぶことの方が多かった」。来場者の笑顔や感謝の言葉が、何よりの励みになった。今では、「万博を〝見に行く人〟じゃなく、〝創る人〟の一人だと思えるようになった」と語る。

 「この経験を、家族や友人にも還元したい」。会場を訪れる人が、もっと楽しめるようにサポートしたいという。

 万博の舞台裏で奮闘する若きボランティア。その姿からは、万博という国際的な祭典が持つ力と、それを支える人々の熱意が伝わってくる。

(田爪翔)

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