中谷文美先生=11月13日、西宮上ケ原キャンパス第1教授研究館新館、渡邊暖菜撮影
社会学部の中谷文美教授は文化人類学を研究している。文化人類学は、文化を比較して人間の多様性と普遍性を研究する学問だ。中谷教授は文化人類学を「合わせ鏡」に例え、「他者の当たり前を知ることで、跳ね返って自分を理解するもの」と語った。
上智大学を卒業後、京葉教育文化センターで3年間務め、オックスフォード大学に留学した。京葉教育文化センターは東南アジアの国々との草の根交流を図る団体だ。通訳として働くうちに、現地の人々の生活をじかに知りたいと考えるようになり、オックスフォード大学で文化人類学を学ぶことを決意した。
中谷教授は現地調査を含む7年間の留学生活を、「大学院に進学する前に働いた経験があったからこそ、学びたい理由がはっきりしていた。学びが当たり前じゃないことを感じた」と振り返った。
研究対象は、文化人類学、ファッション文化、ジェンダー論など幅広い。現在はオランダの高齢者ケアとワークライフバランスについて、現地でのフィールドワ―クを行っている。
「できるだけ長く、急がず」が中谷教授のフィールド調査スタイルだ。何度も訪れ、「また来たね」と思ってもらうことで、信頼関係を構築することを目指している。
外国でのフィールドワークにおいて、言語能力は不可欠だ。5か国語を駆使する中谷教授は、長期的なフィールドワークの中で現地の人と直接会話をする喜びを何度も感じている。
言語習得は容易でないが、バイリンガルではないからこそ完璧な習得を目指そうと思わず、言語を学ぶハードルを下げてくれたという。中谷教授は自身の経験から、言葉が通じると見える景色が変わる、と主張し、言語を学ぶことの大切さを強調した。
中谷ゼミは今年で2年目だ。「ファッション、装い」を共通テーマに定め、日常生活では出会わないものに触れるための学外エクスカーションを定期的に催している。中谷教授は、学生が新鮮な発見を通し、やりがいのある調査に取り組むことを願っている。
中谷教授は学生時代を「この先いつ訪れるかわからない、自分が自由にコントロールできる時間」と表現する。学生に対し、「人生はずっと忙しい。学生時代の時間の使い方は本来すごく独特なはずだから、大事にしてほしい」と語った。
(八島みのり)
