7月28日、熊本県を震源とする大きな地震が発生した。2016年4月に猛威を振るった熊本地震からちょうど10年目という節目に、再び現地を襲った試練に強い衝撃と胸の痛みを禁じ得ない。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い安全の確保と復旧を願ってやまない。
熊本と本学には、切っても切れない深い縁がある。10年前の熊本地震において、関西学院大学は迅速な支援に立ち上がった。2016年度から2019年度までの4年間で、ボランティアとして参加した関学生は延べ318人に上る。瓦礫の撤去や避難所運営の補助、被災者の心に寄り添う生活支援など、学生たちは自らの足で現地を踏み、「Mastery for Service」の理念を体現してきた。
本学における被災地支援の原点は、1995年の阪神・淡路大震災にある。自らも甚大な被害を受け、学生15人と教職員ら8人の計23人の尊い命が失われた。当時の教職員や学生たちは深い哀しみの中から立ち上がり、互いに助け合い、一丸となって地域への復興支援に奔走した。あの日刻まれた痛みの記憶と「隣人に寄り添う」教訓は、関学精神の根幹として今も脈々と受け継がれている。
2011年の東日本大震災では多くの学生が自ら支援をしたいと考え、大学は被災地支援ボランティアバス「あいのりバス」によって1000人以上にもわたる学生を送り出した。学生団体も東日本大震災に関心を寄せ、応援団総部は東日本大震災の被災地へエールを送る企画を行った。
震災支援の歩みは東日本大震災や熊本地震にとどまらない。2024年の能登半島地震においても、本学の学生やボランティア団体は石川県七尾市の被災地に足を運び、仮設住宅での交流や地域の復興支援に汗を流してきた。阪神・淡路から熊本、そして能登へと続く支援の系譜は、困難に直面した地域社会に寄り添い続ける本学の確かな矜持である。
10年という歳月は、当時の記憶を風化させるには十分な時間かもしれない。キャンパスに通う現在の学生の多くは、2016年当時はまだ小中学生であり、当時の熊本地震や支援活動を直接知る世代ではないだろう。しかし、節目の年に再び起きた今回の地震は、私たちに「記憶の継承」と「当事者意識」の重要性を改めて突きつけている。
災害はいつ、どこで起きるか分からない。だからこそ、阪神・淡路の教訓を持ち、能登や熊本との絆を紡いできた私たちが今なすべきことがあるはずだ。
まずは現地の正確な情報に関心を寄せ、被災地の「今」に思いを馳せること。現地への募金や支援活動、日頃からの防災意識の再確認など、できることから行動を起こしたい。ヒューマン・サービス支援室ではボランティアの紹介、相談を受け付けている。
「Mastery for Service」——隣人のために自らを鍛え、捧げる姿勢が、今まさに試されている。被災地に寄り添い続けることの意味を、キャンパス全体で改めて問い直したい。
