「今の自分にできること、やってみたいことを素直にやることが大事」。そう語るのは、2025年3月に総合政策学部メディア情報学科を卒業した種村圭依人さんだ。在学中から学生生活の不便を技術で解決するツールを開発し、卒業後は生成AIや地域データ分析、教育へと活動を広げている。
学生時代に力を注いだのは、自分の関心に合わせて学びを広げることだった。総合政策学部では、政策や都市政策、情報、国際関係など幅広い分野を履修できる。種村さんは情報分野を軸に、都市政策に関する講義にも足を運んだ。「当時学んだ数学や都市の話が、今の地域データの仕事につながっている」と振り返る。
特に印象に残っているのは、工学部開講の石浦菜岐佐教授による「コンピュータアーキテクチャ」と「論理回路」だ。対面、Zoom、アーカイブ視聴から受講形態を選べる授業で、「コンピュータの仕組みを学べた経験は今も生きている」と話す。
学びは講義だけにとどまらなかった。米国留学で英語や現地の技術環境に触れ、大学1、2年生の頃にはオンラインの数学大会を企画。クラウドファンディングで資金を募り、高校時代の教員や大学教授を巻き込んだ。公式の暗記に頼るのではなく、数学の考え方をプログラミングやコンピュータを使った問題解決にどう生かせるかを問いたかったという。
ものづくりも在学中から始めた。代表作は「関学生の時間割アプリ」。必修科目のレポート形式を自動確認するウェブツールも公開した。身近な不便を技術で解決する発想は、現在の仕事にも受け継がれている。
卒業後は主に生成AI関連の開発に携わり、AIの精度を高めるためのツールづくりなどを担う。また、合同会社プルテウスでは、人の移動を示す「人流データ」を用いた分析を行っている。道の駅と周辺観光地の間の人の流れやイベント来場者の動きを読み取り、自治体や事業者の施策改善につなげる仕事だ。
活動は教育にも及ぶ。高校でプログラミングを教え、生徒と生成AIを使った作品制作に取り組む。大学生協推奨のウェブ資格講座ではG検定のオンデマンド講座も担当する。受託開発やレンタカー関連事業にも関わり、複数の会社や案件に携わるため、北海道から福岡まで各地を行き来する。
種村さんが現役生へ贈る言葉は明快だ。「興味のある授業を履修することは大切だが、進路を考える上ではGPAとのバランスも意識してほしい。その上で、今の自分にできること、やってみたいことを素直にやる。その積み重ねが、将来の選択肢を広げる」と呼びかける。
身近な課題を見つけ、技術で解決する。関学大時代に始まったその姿勢が、種村さんの歩みを支えている。
(中泉奏士)
