バリ伝統衣装 体を使って感じ取る

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 「姿勢を整えたり、場に合った服装をしたり。言葉を発する前のコミュニケーションが話しやすい雰囲気を作る」。5月31日から関西学院大学博物館(西宮上ケ原キャンパス時計台2階)で、インドネシア・バリの服飾文化を紹介する展覧会「バリ 布の万華鏡―布が伝える美のこころ―」を始めた武居郁子さん。展示している衣類は、バリで20年間暮らし、現地の人と対話を重ねる中で、譲り受けたものだ。

 武居さんは1999年に外国人で初めて、インドネシアの国家資格「婚礼衣装美容着付師」を取得した。バリの婚礼衣装は、ヒンドゥー教の神々を色で表現した色彩豊かな長方形の布の組み合わせで、体に巻き付けて着る。婚礼衣装の布は、先祖から代々受け継がれており、今回の展示品の中には約90年間使われた布もある。

 武居さんは、インドネシアへ移住した当初「バリ語での会話ができず、失語症のようだった。教科書通りのことなんて無かった」と苦悩していた。「日々(自分の体で)現地の人と接することでなじんでいけた」と振り返る。

 帰国後の生活で、日本は便利すぎると感じた。「手仕事や織物といった伝統よりも、SNSで『映える』見た目が優先されている。感覚がデジタル化して、自分の体を使っていない」

 今回の展覧会では武居さんによるガイドは実施せず、展示物の説明やパネルの情報をあえて少なくした。「五感を使うのが人間。来訪者が『感じる』ことを大切にしてほしい」と目を細めた。

 展覧会は来月6日まで。新型コロナウイルス感染症対策のため、入館は関学大の学生と教職員に限定している。入館料は無料。

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