ニュース番組のメインキャスターを12年間務めた関西学院大学の村尾信尚教授(65)は10月28日、同大学神戸三田キャンパスで開かれたパネルトークに登壇した。高校に出向き、模擬講義を行う「村尾塾」をテーマに講演し、持続可能な未来を見据えた行動を呼び掛けた。新型コロナウイルス感染予防のため規模を縮小。会場で10人が参加し、オンラインでは54人の学生が視聴した。
「村尾塾」には、村尾教授が日本全国の高校に出向き、対面で講義を行う出張授業と、講義動画の視聴とオンライン授業を組み合わせたウェブ授業がある。今回は、講義動画の制作に携わった理工学部情報科学科の池田晴人さん(3年)、尾崎七海さん(4年)、下村日南さん(3年)がパネリストとして参加。動画制作で心掛けたことなどを話した。
村尾教授は、学生から自身のターニングポイントを尋ねられ、大蔵省から三重県庁へ出向した時に発覚した税金の不正使用問題を総務部長として対応し、その後行政改革を行ったことだと応じた。県民の怒りを一手に引き受け、役人ではなく納税者の視点で世の中が動いていく必要性を感じたと紹介した。
村尾教授は聴講者の質問にも応じ、高校生に訴えたいことに「平和の大切さ」を挙げた。円柱を例に、上から見ると丸、横からは四角形に見えるとし、「視点が変わることで目の前に広がる世界の姿は変わる。一つの意見に固執せずに、自分とは異なる意見に耳を傾け、受け入れる寛容性を持つことが重要だ」と強調した。 (川本暖乃)