5月9日はEU(欧州連合)設立のきっかけとなった、シューマン宣言が発表された日である。この通称ヨーロッパ・デーの前後に、毎年本学では「日・EUフレンドシップウィーク」が開催されている。本学産業研究所(以下、産研)内のEU情報センターとEUインスティテュート関西が主催し、日本とEU間の絆を深めることが目的だ。
内容は、講演会、本学生デザインのオリジナルグッズのもらえる「EUクイズ」、EU加盟国の料理に挑戦する「EUクッキングレッスン」、そしてパネル展示である。特に今回は、少しでも学生がこのイベントを、ひいてはEUを身近に感じ、足を運びやすい内容となるような工夫が凝らしてあった。
中でも、パネル展示においては、初の試みがなされた。昨年度のEUフィールドスタディに参加した学生が、パネルの制作をおこなったという。実際に、現地の企業を見た学生の視点で描かれたEUを知ることができた。
また、産研のアンナ・シュラーデ准教授による講演会「EUではたらく」も開催された。国際学部開講のEU地域統合論での授業内講演だが、学部や学内外問わず参加できるものであった。本講演会は、日本とEU諸国の労働者の在り方や、労働環境の比較を中心に進められた。学生同士でのディスカッションも行われ、終始和やかな雰囲気であった。また、終盤には英語での講演になるなど、国際学部の授業を兼ねた講演ならではの展開となった。
講演を行ったシュラーデ准教授は、今年から本学で勤務している。主にヨーロッパと日本における経済状況や労働状況に関する比較研究を行なっており、最近はアジア地域にも興味があるという。
また、以前の勤務校に比べ、本学には英語での会話体験が豊富な学生が多く、シュラーデ准教授自身も満足感を感じているそうだ。普段の授業においても、学生が日本以外の国に目を向けることを目的としている。「自国にばかり目を向けていては成長できない。海外のことを勉強して、考えて、初めて見えてくるものがある。世界を広げてほしい」と学生にエールを送った。
運営を担った産研は、本学において実に80年以上の歴史をもっている。本学上ケ原キャンパス内の図書館3階に位置し、EUに関する資料を多数管理している。興味があれば、閲覧も可能である。担当の大原淑子さんは、「EUに興味のない学生にもぜひ来て欲しい。とりあえず関わってみることで発見できることはたくさんある」と語った。
今回のイベントは、参加した学生にとって、自身の視野を広げるよい機会となったのではないだろうか。来年以降の開催が待ち遠しい。(C・N)