関学大元客員教授セルギー氏 ウクライナの現状伝える
「ウクライナから人の財産がなくなっている」

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 ウクライナの現状を伝える講演会「ウクライナからの声」が6月21日、関西学院大学であった。西宮上ケ原キャンパス、神戸三田キャンパスの他、中学部、高等部、千里国際キャンパスの各会場と中継をつなぎ、西宮上ケ原キャンパス会場には、約100人の学生が集まった。関学大の元客員教授であるセルギー・ゲラシコフ氏が、キーウからオンラインで講演。ロシアによる侵攻が続くウクライナの今を、学生らに伝えた。

 開催のきっかけは、中道基夫院長がウクライナ関連の催しをしたいと話したことだった。社会学部の荻野昌弘教授は「教え子であるセルギー氏を何らかの形で招いて講演会を開いたら良いのではないか」と思い立ち、開催に至った。

 セルギー氏は「日本社会には、ウクライナに無関心な人もたくさんいる。できればウクライナから現状についてお話したいと思った」と依頼を引き受けた。

 セルギー氏は、最新の世論調査やデータを用いて、現在のウクライナ社会や、ウクライナ人が侵攻をどのように受け止めているのかについて語った。ロシアの侵攻については残酷な戦争とし、セルギー氏自身の率直な思いも明かした。「戦争について話すのは少し難しい。戦争はとても感情的なもので、研究者として感情を封印しなければならないから」

 2月24日の侵攻から4か月以上経った今でも、停戦の兆しはみられない。セルギー氏は「ロシアは一般市民を殺し、病院や学校を破壊している。ほとんどルールがない状態で戦争が行われている。この戦争のゴールが何なのか分からなくなってきた」と戸惑いを示した。

 ほとんどの地域で、ほぼ毎日空襲警報が発令されているという。「実は1時間前にも空襲警報が発令された」と生活に息づく恐怖を語った。

 大学の建物が破壊されるなど、教育機関も大きな被害を受けている。一部の地域では、幼稚園や中学校は避難民の一時的な宿泊所となっているという。

 侵攻がウクライナ社会に与える影響の一つに、セルギー氏は人材の流出を挙げた。「高い教育を受けたウクライナ人がどんどん違う国に避難し、定住している。ウクライナから人の財産がなくなっている」と懸念を示した。

 荻野教授は「(ウクライナの現状について)直接話を聞くのは今までなかったこと。生の声を聞くことが重要だ。今回のような機会をこれからも作っていけるといいんじゃないかな」と振り返った。

 荻野教授の宣伝で講演会を知ったという二村友佳子さん(社会学部2年)は「ウクライナの人たちがどれだけ自分の国に誇りを持っているかが分かった」と話した。

 セルギー・ゲラシコフ氏は、ウクライナ東部ドネツク州出身。2014年の紛争により国内避難民となった。ドネツク国立工科大学に在籍していたが、14年にキーウ工科大学に移籍。現在、同大学で哲学科准教授として勤務する。

 関学大とも縁が深く、12年に関学大を初めて訪れた。その後16年に半年間、社会学部客員教授として再来日。日本におけるウクライナのイメージについて研究した。(横山なつの)

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