捨てたってごみは消えない。その行為によって、ごみを視界から排除しているだけだ。
近年、世界的に問題となっている海洋汚染。その原因の一つとして注目されているのがマイクロプラスチックだ。ペットボトルやレジ袋、発泡スチロールやカップに至るまで、我々の日常のあらゆる場面にプラスチックは存在している。これらは自然界で非常に分解されにくく、紫外線や海流、波などの影響で劣化し、細かい破片となる。洗顔料や化粧品にスクラブとして使用されている「マイクロビーズ」もこれに含まれる。
問題は、通常のプラスチックより細かくなったことにある。有害物質が付着しやすくなり、鳥や魚などがエサと間違えて食べてしまうのだ。生態系への深刻な影響、その魚を食べた人間の健康被害も懸念されている。
こうした状況を受け、国内外の企業で使い捨てプラスチックの抑制に向けた取り組みが行われている。
去年7月、コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックスが「2020年末までに全世界のスターバックスでプラスチック製ストローを全廃する」との目標を発表した。これにより、年間に10億本以上のプラスチック製ストローの使用を削減できるという。米ハンバーガーチェーン大手のマクドナルドも、2025年までに全世界の全店舗でプラスチック製ストローを廃止にする方針だ。また、ガストやバーミヤンで知られる日本の外食大手「すかいらーくホールディングス」も2020年を目標に、プラスチック製ストローの廃止を決定している。
企業だけではない。日本では、2019年6月に開催される主要20カ国・地域首脳会議に向けて、プラスチックごみの大幅な削減対策を進めている。レジ袋の有料義務化や、2030年までに使い捨てプラスチックの排出量の25%削減などを盛り込んだ「プラスチック資源循環戦略」を策定中だ。
また、欧州議会は去年10月、2021年から使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案を可決した。ストロー、レジ袋など、一般利用されている10品目の使い捨てプラスチック製品が対象だ。今回禁止対象外となっている品目についても、2025年までに25%削減することを加盟国に義務付けている。さらに、その他のプラスチック製品である飲料用ボトルに関しても、2025年までに90%のリサイクル率を達成することを加盟国に義務付けた。
このように、国や地域、企業などがさまざまな取り組みで使い捨てプラスチック製品の削減を目指している。海洋汚染を悪化させず、生物の生態系や人間の健康を守るためだ。もちろん、我々学生にもできることはある。
本学キャンパスの生協やコンビニでは、パンや弁当、お菓子や飲料といったものを多く扱っている。それらは毎日学生によって大量に消費され、同時に大量のプラスチックごみとして排出されている。商品の容器やラベル、スプーンやストローなどには当然プラスチックが使われているからだ。海洋汚染を考えたとき、悪化させないための一つの手段がそれらを使わないことである。
リサイクルという手段もある。本学生協では2005年から「関学生協オリジナル弁当」においてデポジット制をとっている。弁当購入代金にあらかじめ10円が上乗せされており、食べた後容器を店舗に返却することでその10円が返金されるというシステムだ。
海洋汚染の原因の一つであるプラスチック製品は我々の生活に浸透している。だからこそ、悪化させないために個人で講じられる手段は多いはずだ。捨てて終わりではない。その先を、一人一人の行動で変えていきたい。