【記者レポート】能登半島地震現地ボランティア
- 2024/11/30
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- 【記者レポート】能登半島地震現地ボランティア, ヒューマン・サービス支援室, 田爪翔, 能登半島地震
第4回能登半島地震現地ボランティア
能登半島地震現地ボランティアは関西学院大学ヒューマン・サービス支援室が5月下旬の第1回目から不定期に派遣している。
10月11日から13日には第4回能登半島地震現地ボランティアが行われた。今回、本部の記者の一人が参加と取材を兼ねる形で同行した。この面では記者レポートの形で出来事を執筆した。
1日目(10/11)
10月11日午後4時50分、JR大阪駅にて15人の学生と引率の職員3人、外部団体の引率者3人が集まった。現地ではさらに教員1人と外部団体の引率者2人が合流する。
1日目は移動だけで行程を終える。金沢駅で夕食をとり、午後8時半からマイクロバスに乗り、のと里山海道を経由して羽咋市にある国立能登青少年自然の家に到着した。ここが2日間の宿泊場所となる
2日目(10/12)
午前8時30分からバスに乗り目的地の新町会館に向かう。多くの建物や畑、田んぼの横を通る。道中、ブルーシートで屋根を一部分覆う住宅を多く見かけた。この地域に甚大な揺れがあったことをブルーシートは克明に示している。
午前9時30分頃、七尾市中島町の新町会館に到着した。七尾市は能登半島の中能登地域にある自治体であり、中島町はその北部に位置する。新町の住民と新町に隣接し、旧中島中学校跡地に建てられた仮設団地である中島町第1団地の住民たちの双方と交流する。
机や座布団などを準備した後、学生たちが昼から開催するイベントのチラシを仮設住宅と新町の住民に配った。学生たちは一軒一軒丁寧に訪問し近況を尋ね、住民の相談に乗り、家具の移動を手伝った。
午後0時30分から始まった交流イベントでは、高齢者や地域の子どもと交流した。関学大OBが社長を務める高山堂(本社・兵庫県西宮市)より提供された和菓子を食べながら、雑談や将棋の対局で仲を深める学生、子どもとサッカーなどのスポーツを通して心を通わせる学生など、自分の得意な分野を生かしてそれぞれ活躍した。
午後3時から移動し、次の目的地である豊川地域にある豊川分館に向かった。豊川地域は中島町の中に位置する7つの在所(町会)から成り立っている。
豊川地域に着くと、バスで豊川分館長の井田正輝さんによる豊川地域の紹介が行われた。学生たちは、町の名前の由来や町の建物や鳥居の6つ中4つが半壊や全壊したという被害について学んだ。
午後4時頃からは豊川分館にて交流会を行った。豊川女性会をはじめとする7つの団体が参加した。内容は現地の方と災害に備えて「○〇に△△したときにはーを伝えたい」という題材だ。4つのグループに別れ住民の災害体験を交え考えた。
住民からは1ケ月以上断水した状況で生活を送ったことや学校が避難先で子どもたちの学びが制限されたことなどを聞いた。それらの体験をもとに「近所付き合いがない人に、平常時から地域コミュニティ連携のために繋がりを持つように」や「被災のときに『小中学校=避難所』という考えをやめようと伝えたい」などさまざまな意見がまとまった。
一日の統括として、引率者である西宮市社会福祉協議会の構麗太さんは「振り返りで信頼という言葉が多くあったが、信頼はとても大切で、積み重ねることで生活していくことができる」と学生たちに明日はその信頼を繋いでいってほしいという言葉とともに一日を締めくくった。
3日目
3日目は午前中、主に子供達に向けてハロウィン装飾作り、午後からはビンゴ大会を行った。
午前10時30分から始まったハロウィンの装飾作りでは子どもが多く集まり、折り紙やシャボン玉、写真フレーム作りなど子どもたちの希望に添って遊んだ。住民は子どもたちの遊ぶ光景を微笑ましく見ていた。また、写真で思い出を住民の手元に残せるようカメラを構える学生もいた。
午後1時からは学生が主体となり、ビンゴ大会を開催した。子どもから高齢者まで、新町会館が満員になるほどの人たちが訪れた。
ビンゴ大会が始まると「開いた!」や「やったー!リーチ!」など賑やかな声があちらこちらから起こった。会場は盛り上がり、ビンゴした人たちからは笑顔がこぼれた。
ビンゴが終わり解散の際、名残惜しい声が双方から聞かれた。記念写真撮影後、次のボランティアでの再会を約束する学生の姿もあった。
引率者の一人である大阪大学IMPACT所属の畑中英理子さんは「あまり時間がない中みんなが住民の気持ちに寄り添って活動していたのが印象的だった」と話した。
前田裕希さん(社会学部2年)は「現地に行ってよかった。学内だけの活動だけじゃわからないことが多かった」とボランティアを振り返った。
西脇ももこさん(人間福祉学部3年)は「家にあげてもらいタンスを動かしたことが印象に残った。高齢者が多い町だと力仕事が大変だなと思った」と語った。
徐雯さん(経営戦略研究科1年)は能登半島と今後どう関わっていきたいかという問いについて、「コンビニなどの募金やボランティアに友人を誘ってみたり、能登を観光したりしていきたい」と思いを込めて語った。
取材後記
今回の能登半島地震現地ボランティアは、地元が石川県で、能登半島と深い関わりがある私としてはとても特別な体験だった。私は能登半島に被災後三度訪れているが、のと里山街道の道路状況やお店の営業状況からみて少しずつだが着実に復興が進んでいる。
集会所がなかった中島町第1団地ではNPOや住民たちの七尾市に対する請願により集会所が建設予定だ。完成は12月頃を予定している。この面からも住民の声も取り入れた復興は進んでいると思う。
しかし、能登半島を訪問した際、今年9月の豪雨災害について不安の声をたくさん耳にした。家の床下まで水が来ていたことや、もう少し雨が続いていたら家が浸水していた可能性があったという話はテレビや新聞の報道だけでは知り得なかった情報だった。このような一次情報を聞いたことは今回参加した私を含む学生に大きな財産となった。次はこの情報を身内や知人、さらにはこの西宮、兵庫、関西と広げていくことが大切だ。
「忘れられた被災地」という言葉がある。これは報道機関が一番被害の大きかった被災地ばかりにフォーカスを当てたことが原因で、甚大な被害を受けたが報道されず知られていない被災地のことを指す。私たち学生が能登半島地震現地ボランティアに行った意義は、支援の手の先をこのような地域に広げるために伝えることなのではないかと思う。
次回の第5回能登半島現地ボランティア(下記参照)は来年の2月頃を予定している。今回訪問した中島町での交流、豊川分館での交流会などは引き続き行われる予定だ。能登半島地震現地ボランティアに参加したことのない学生も、すでに参加した学生も応募して参加してみてはどうだろうか。参加することで能登の復興の力を感じてほしい。そして能登の今を自分の口で伝え、繋いでいってほしい。 (田爪翔)
第五回能登半島現地ボランティア予定
・活動日時: | 2025年2月14日(金) ~ 2月16日(日) |
・応募期間: | 12月2日(月)10:00 ~2025年 1月8日(水)10:00 |
・募集人数: | 20名程度 ※応募者多数の場合は、抽選を行います。 |
・参加者発表: | 2025年1月15日(水)10:00頃(メールで参加可否をお知らせします) |