ホームランを打ち笑顔でダイヤモンドをかける武田選手=2024年6月11日、明治神宮野球場、宝本拓夢撮影
全国の高校球児が目指す舞台が「甲子園」ならば大学野球で選手が目指すのは「明治神宮」だろう。
2020年、日本国内で新型コロナウイルスの感染が拡大した。その影響は高校野球にも広がり、第92回選抜高等学校野球大会と第102回全国高等学校野球選手権大会が中止となった。〝たった一つの目標さえも失った〟多くの高校球児は涙をのみ、途方にくれた。
その高校球児たちは現在大学4年生になり、違う形で全国の舞台を目指している。それが全日本大学野球選手権大会だ。
関西学院大学体育会硬式野球部はこの大会につながる関西学生野球連盟春季リーグ戦で激闘の末6季ぶり16回目の優勝を飾り、出場を決めた。4年生の部員はあの時立てなかった全国の舞台に4年越しに主役として出場する。我々新聞総部は現地の明治神宮野球場で本大会初戦の取材を行った。
関学大体育会硬式野球部は6月11日、東京都新宿区の明治神宮野球場で行われた第73回全日本大学野球選手権大会2日目の1回戦第2試合に出場した。
関西学生野球連盟の代表として出場した関学大は東京新大学野球連盟の代表、共栄大学を相手に2-1で勝利した。
太陽が照りつける快晴の中始まった試合、関学大は初回から動きをみせた。死球から犠打でつなぐなど2死三塁のチャンスで打者は山本晃也選手(社会学部3年)、左前へのタイムリーで幸先よく先制した。三回には先頭の武田大遥選手(商学部4年)が右本塁打で貴重な追加点を奪った。
投げては先発の飯田泰成選手(人間福祉学部2年)が広いフィールディングと緩急を駆使し、六回2奪三振無失点と快投を披露。七回以降は継投に入った。七回に三連打などで1点を返され、なお2死満塁を作られたものの、後を受けた3番手の溝口雄大選手(法学部4年)が二ゴロに打ち取りピンチを脱した。その後も続くバッターを溝口選手が抑えリードを守り切った。
試合終了後、武田選手は「自分の結果よりもチームの勝利が欲しかった」とコメント。リーグ戦では日替わりでヒーローを出した関学大チームの雰囲気を裏付けた。
初戦の勢いのまま関学大は翌日の2回戦、首都大学野球連盟の代表、帝京大学との試合に臨んだ。
初回に相手から先制となる2点タイムリーを浴びたものの、二回に無死一塁から馬場和輝選手(国際学部4年)の左本塁打で同点に追いつき、三回には1死三塁で両井大貴選手(社会学部4年)、センターへの犠飛で勝ち越した。しかし六回に犠飛で同点に追いつかれ、3-3の九回、2死三塁でセンターへの三塁打で勝ち越しを許した。その裏には2死二塁のチャンスを作ったものの最後は一直、3-4で惜しくも敗れた。
結果はベスト16で敗退となったものの、取材に行った全国の舞台の初戦、選手たちは終始試合を楽しんでいるようだった。〝ずっと好きだからやれてきた〟野球、大きな壁を乗り越えたその景色は何にも代えられない。次は秋の明治神宮野球大会。選手たちは再び同じ舞台に上がり、優勝という頂の景色を目指していく。 (久保田創士)
溝口選手
‐4年越しの全国の舞台でのピッチングを終えて‐
「ありがたい。幸せな野球人生だと思いながらのピッチングだった」
飯田選手
‐先発登板で意識したことについて‐
「三振を取りに行くというよりはしっかりコースに投げ、打たせてリズムよく投げることを意識した」
武田選手
‐大会チーム初本塁打を打ったことについて‐
「自分が一番びっくりしている。一番良い結果になって良かった」
圧巻の投球を披露する飯田選手=2024年6月11日、明治神宮野球場、宝本拓夢撮影
この日活躍した3選手、武田選手(写真左)、飯田選手(写真中)、溝口選手(写真右)=2024年6月11日、明治神宮野球場、宝本拓夢撮影
力投する溝口選手=2024年6月11日、明治神宮野球場、宝本拓夢撮影