「物心つく前からボールに触れていた。サッカーが一番楽しいので、辞めたいと思ったことはない」そう語るのは関西学院大学体育会サッカー部の長尾優斗さん(社会学部4年)だ。
長尾さんは当初、高校卒業後はプロ入りを希望していた。より多くの練習時間を確保するため、全日制高校ではなく、通信制高校を選択。勉強時間は昼の2時間だけでそれ以外の時間はすべて練習に費やした。しかし、J3リーグの試合に出場したことで、プロで活躍するにはまだ自身の力が足りていないと感じ大学への進学を決めた。
大学入学後は卒業後、プロで1年目から活躍できるようにトレーニングを重ねてきた。また、自分より早くプロ入りを決めたチームメイトからは多くの刺激を得た。チームメイトたちとの交流がプロへの憧れを一層強くした。
大学で印象に残る試合は2022年度インカレの準決勝だ。長尾さんは「自分でも良いパフォーマンスができたと思う。自分の人生を大きく変える試合だった」と語った。
大学でのポジションはボランチ。ボランチはチームの中心で試合の流れをコントロールするため、試合の展開やチーム状況を常に意識してプレーする必要がある。試合中、積極的に大声を出すわけではないが、メンバーとのコミュニケーションは絶やさずプレーしている。
9月3日からは総理大臣杯が始まる。「もちろん、日本一を目指している。自分自身、チームや試合を引っ張っていきたい」と長尾さんは意気込む。
長尾さんにとって部で過ごす時間は残りわずかだ。来年からは、J2リーグに所属する水戸ホーリーホックでプレーすることが決まっている。水戸ホーリーホックの練習試合に参加後、何度もチームへの加入を提案された。その熱い姿勢から「自分を必要としてくれている」と感じ、加入を決意した。
「高校時代からプロに憧れていた。プロ1年目が勝負だと思っている。周りの人に遠慮せずにプレーしたい」と長尾さんは笑顔で話した。(石本理子)