西成区の課題に産官学で挑む 排除ではなく社会的包摂へ

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 大阪市西成区の地域課題を学び、その解決に向けたアイデアや魅力創出を目的として「産官学連携による西成区の課題解決・魅力向上プログラム」の第2弾が10月から11月にわたって、西成区に本社を置く株式会社エイチ・ツー・オー商業開発と大阪市西成区役所、人間福祉学部が連携して実施した。

 このプログラムには、人間福祉学部の13人の学生が参加した。学生は、西成区でのフィールドワークと関係者の説明を通じて学び、課題解決や魅力創出に関するプレゼンテーションを行った。

 その中で、古くなった放置自転車にアートをしてオブジェにすることや野外図書館、ブックバスなど学生ならではの柔軟で新鮮な発想力を活かした提案がなされた。

 プログラムに参加した川岸孝太朗さん(3年)は「授業で西成区について学んでいたが実際に訪れたことはなかった。フィールドワークで、人柄や町の様子を知ることができ、意識やイメージが変わった」と感想を述べた。

 同じくプログラムに参加した三平(さんぺい)菜桜さん(3年)は「ホームレスの方の居場所を残しつつ、どうやったら支援につなげられるのかという視点で提案を考えた。居場所があることで安心感をもつことができ、生きがいなどにもつながると思う」と話した。

 20年以上にわたり西成区に関連する研究を行っており、プログラムの実施に携わった人間福祉学部の白波(しらは)(せ)達也教授は、あいりん地区を含む新今宮駅周辺のさらなる開発が進むことが予想されるなか、社会関係のなかで起こる貧困や排除、差別などの根本的な理由を解決するなどしてよりbetterにしていくことである「社会的包摂」と地域活性化が連動するか否かの見極めが重要だと指摘する。

 白波瀬教授は「社会的包摂を欠いて地域活性化ばかりを進めていくと、地域に暮らすマイノリティの方が暮らしにくくなってしまう可能性がある。賑わいと社会的包摂のバランスが大切だ」と社会的包摂の重要性を強調した。

(今村早織)

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