(ヒストリー)キリスト教主義教育の歴史

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 本学の創立の原点はキリスト教主義だ。学院の創立以来、建学の精神として重要視される考え方ではあるが、大学の規模が大きくなるにつれ、宗教色は薄まっている。それでもなお、チャペルアワーやキリスト教学の講義など原点を感じられる時間は多い。今日はキリスト教主義教育について掘り下げる。

 キリスト教主義の理念を具体的に言えば「能力に関わらず、一人ひとりを大切にするということだ」と関西学院で宗教総主事を務める山本俊正教授は語る。神の前において人間は平等であるというキリスト教の考え方は創立以来大切にされており、早い段階から困難な状況にある学生に対しても就学の機会を提供してきた。障害者の受け入れは社会に先駆けて行われており、日本点字図書館を創立した本間一夫氏など著名な卒業生も多い。また、本学は日本の大学で初めて「難民」学生推薦入試制度を設置するなど、建学の精神に基づいた取り組みは多い。

 学生が日頃からキリスト教主義教育を実感することの出来る機会も多い。全学部で必修の講義「キリスト教学」やチャペルアワーはその代表だ。「キリスト教学」では客観的な視点からキリスト教の考え方や、キリスト教に基づく建学の精神を学ぶ。山本教授は「講義では、キリスト教の理論を学ぶことは出来ても、キリスト教を本当に理解したことにはならない」という。キリスト教学の学びを実践し、実際に礼拝を通して主観的に宗教と向き合うことの出来る時間がチャペルアワーだ。本学の学生は、講義とチャペルアワーの両輪でキリスト教を理解している。

 本学のチャペルアワーは授業実施期間中、10時35分から11時5分までの30分間、学部ごとに運営されている。大学紛争によって休止状態になったこともあるが、1970年以降は今に至るまで行われ続けている。プログラムは講話を中心に、学生団体の活動報告や音楽団体の発表など様々。4日、記者が取材した商学部のチャペルアワーでは文化総部甲山落語研究会の学生が落語を披露していた。山本教授は「人間の多様性を分かち合う場として様々な取り組みをしている。チャペルは気軽に来られる敷居の低いコミュニティだ」と話した。

 「今後もキリスト教主義という建学の精神は揺るぐことはない」としつつ、「本学が著名な高等教育機関としての役割が大きくなるにつれて成果主義的な評価を受けるも多くなる。建学の精神を具現化し、多様性のある学院だということも学内外に積極的に発信していきたい」と山本教授は語った。

チャペルアワーで落語を披露する、文化総部甲山落語研究会の櫻鶯亭天蝶さん。この日のチャペルは多くの学生でにぎわっていた=4日、商学部チャペル
本学創立期のチャペルの様子。中央は第2代院長の吉岡美國、右が普通学部長を務めたウェンライト=1904年、原田の森キャンパス(現在の神戸市灘区王子町)、関西学院大学学院史編纂室提供

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