マスターピース 「本日は、お日柄もよく」 関西学院大学文学部卒 原田マハ著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

 この物語の主人公、二ノ宮こと葉は会社員として気楽で平凡な日々を送っていた。そんなある日、こと葉は幼馴染の結婚式で人の心を鷲掴みにする感動的な祝辞に出会う。それは「伝説のスピーチライター」久遠久美の祝辞だった。  

 祝辞に心奪われたこと葉は久美に弟子入りすることを決め、言葉の世界に足を踏み入れる。

 こと葉は久美から教えを受けながら数々のスピーチを書いていく。そして、ついに政権交代を目指す野党のスピーチライターに抜擢される。人間っぽく、少し愉快で、人の心を打つ。そんなスピーチを書くためにこと葉は依頼人の考え方や想い、生き方にまで向き合っていく。

 こうしてこと葉の世界は次第に言葉によって変わっていったのだ。

 この物語が一貫して描いているのは、言葉が持つ力の大きさだ。言葉は時に励ましになり、時に温かい抱擁のようなものになる。こと葉自身、物語の中で久美の言葉に背中を押され、幼馴染の言葉に心を熱くし、友達の言葉に穏やかになる。

 自分自身の何かを変える時、誰かと信頼関係を築く時、社会を少しずつ変えていく時、そこに言葉は大きく影響を与えているのではないだろうか。

(森友紀)

関連記事

ピックアップ記事

  1. 本インタビューは2024年11月に行われ、4月1日発行の関西学院大学新聞866号に掲載されました。…
  2. 応援団総部による演舞の締めくくり=4月29日、大阪・関西万博会場内、田爪翔撮影  応…
  3. 来場者を出迎えるミャクミャクの像=5日、会場内東ゲート付近、田爪翔撮影  2025年…
  4. 関学OGの参加者からの質問に答える玉木氏=2025年1月27日、東京丸の内キャンパス、田爪翔撮影 …
  5. 1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とする「阪神・淡路大震災」が発生した。神戸市や…
ページ上部へ戻る