マスターピース 「本日は、お日柄もよく」 関西学院大学文学部卒 原田マハ著

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 この物語の主人公、二ノ宮こと葉は会社員として気楽で平凡な日々を送っていた。そんなある日、こと葉は幼馴染の結婚式で人の心を鷲掴みにする感動的な祝辞に出会う。それは「伝説のスピーチライター」久遠久美の祝辞だった。  

 祝辞に心奪われたこと葉は久美に弟子入りすることを決め、言葉の世界に足を踏み入れる。

 こと葉は久美から教えを受けながら数々のスピーチを書いていく。そして、ついに政権交代を目指す野党のスピーチライターに抜擢される。人間っぽく、少し愉快で、人の心を打つ。そんなスピーチを書くためにこと葉は依頼人の考え方や想い、生き方にまで向き合っていく。

 こうしてこと葉の世界は次第に言葉によって変わっていったのだ。

 この物語が一貫して描いているのは、言葉が持つ力の大きさだ。言葉は時に励ましになり、時に温かい抱擁のようなものになる。こと葉自身、物語の中で久美の言葉に背中を押され、幼馴染の言葉に心を熱くし、友達の言葉に穏やかになる。

 自分自身の何かを変える時、誰かと信頼関係を築く時、社会を少しずつ変えていく時、そこに言葉は大きく影響を与えているのではないだろうか。

(森友紀)

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