
追悼式でお焼香をあげるIVUSAの学生=3月11日、普門寺、石岡孝憲撮影
国際ボランティア学生協会IVUSAは3月9日から宮城県山元町で、追悼式や点灯式をはじめとした東日本大震災復興支援活動を実施した。
IVUSAは全国から集まった大学生2700人が所属しており、災害救援、環境保護、地域活性化など幅広い分野で活動している。
東日本大震災復興支援活動の参加者である吉川澄春さん(経済学部3年)は「有意義な体験だったがショッキングな場面も多かった」と感想を語った。吉川さんはIVUSAの兵庫西宮クラブに所属しており、復興支援活動に参加した唯一の関学大生である。

吉川さんは今回の活動で印象に残った場面として、初日に実施された旧中浜小学校の見学を挙げた。
旧中浜小学校は災発生時、屋上に避難した児童など90人を津波から救った建物として現在一般公開されている。小学校の敷地内には津波により17メートル動いたとされる石碑が今もなお横たわっている。吉川さんは「メモを取ろうとしたが、石碑を動かす津波の力強さが衝撃的で手を動かすことができなかった」と自然の驚異を口にした。

追悼式は宮城県山元町にある普門寺と大地の塔で開催され、住職による読経の後、震災が発生した14時46分に合わせて黙祷を捧げた。追悼式後に大地の塔で点灯式が開催され、IVUSAの学生は手作りの灯籠を一斉に灯して山元町の犠牲者を弔った。


最終日はIVUSAが主体となって地元の学生と共に山元町の具体性・現実性ある復興と発展を考えるグループミーティングを実施した。

吉川さんのグループは山元町の若者を大都市にホームステイさせて都会での経験を山元町に還元する案を発表した。

吉川さんはグループミーティングについて「具体的かつ町民の方に受け入れてもらえる復興案を考えるのはとても大変だった」と復興案を当事者の目線に立って考え出す難しさを明かした。

吉川さんは東日本大震災の復興支援活動全体の手応えに自信を見せ「震災から10年以上経って災害支援は終わり、地域支援に移りつつあるように感じる。住民の方とのコミュニケーションを綿密にしてきたおかげで信頼を強く感じている」と力を込めた。
(石岡孝憲)
