「春学期に対面授業をしてほしかった。今のままでは、自信を持って実習に行くことができない」と嘆くのは、小学校の教員免許取得を目指す、関西学院大学教育学部3年の女子学生(21)。9月から、広島県の母校で教育実習に臨む予定だが、対面での実習経験がほとんどないことに不安を覚えている。
小学校教員の免許取得には、3〜4週間程度の教育実習が必要とされる。教育学部には、実習に向けて授業について学ぶ模擬授業や、音楽や家庭科など実技を伴う授業の実習など、様々なカリキュラムが用意されているが、現在は新型コロナウイルスの影響で、ほとんどがオンラインでの授業になっている。
模擬授業では、教師役の学生が児童役の学生に授業し、助言を受ける。黒板や机に囲まれた空間で、より良い授業の方法を試行錯誤しながら学んでいく。しかし、対面で模擬授業をする機会は無く、代わりに1人で授業している様子を撮影したものや、指導案を提出しただけだった。
女子学生は「実際に人を前にして授業をしないと経験が積めない。作成した指導案に対しても、教師からは一言二言のコメントがあるだけ。これでは何が正解かが分からない」と不安を語る。
学外での実習も、新型コロナウイルスの感染状況に影響を受けてきた。感染状況が一時的に収まった昨年9月には、兵庫県宝塚市の小学校に1週間の実習に行くことができた。しかし、小中学生教員免許の取得に必須の「介護等体験」は、今年の6月に予定していたが感染の再拡大により中止になり、参考資料を読んでのリポート提出に変わった。
女子学生は「介護等体験は、教員免許の取得に必要な実習。経験しないまま、リポートで済ませていいものか」と困惑した表情で語った。(前田瑞季)