本学では、喫煙者と非喫煙者が共存する「分煙」の方針をとっている。しかし、昨今の状況を見ると、本当に実現できているかには疑問が残る。
西宮上ケ原キャンパスの学生は、B号館前の屋内喫煙所や図書館横、商学部棟前の喫煙所を目にすることがあるだろう。そこでは、指定の場所以外で喫煙する学生や、散乱する吸い殻が見受けられる。
学生課の山岡靖明さんは「喫煙所以外で喫煙する学生には、見かけ次第注意をしている。しかし、喫煙はマナーやモラルの話であり、学生が指導されるべきことではないのでは」と苦言を呈する。喫煙については、すでに義務教育や高校の間で学んでいるはずだ。煙草の副流煙には有害物質が含まれており、その被害は周りの人も受ける。20歳を超えて、大人の一員であるのにもかかわらず、他人の迷惑についても考えるよう叱られるのは、大人として恥ずかしいことではないか。
一方で、喫煙所の数と規模が年々縮小しており、スペースが足りないため周辺で吸っているという声も聞く。確かに、学内喫煙所のスペースは狭い。休み時間になると、肩をぶつけながら喫煙をしなくてはならない。だからと言って、喫煙所外で吸っていいという理由にはならない。
法学部学生自治会では、B号館の喫煙所周辺の吸い殻清掃を行っている。目に見える形で清掃を行っている間は、喫煙者も屋内で喫煙してくれるそうだ。「学生が大学側へ要望を出すなら、まずは自分たち自身がルールを守ってほしい」会長の福森啓司(法・3)さんはそう語った。
また、非喫煙者からの声ばかり届き、喫煙者からの意見がほとんど聞こえてこないのも問題である。学長室の細間椋さんは「昨年度は学生の喫煙マナーについて、多くの非喫煙者から意見が寄せられた。喫煙者も規制に文句を言うのだけではなく、自分たちも『こうだったら気持ちよく喫煙できる』といった意見を出してほしい」と話した。
この問題は、大学がただ規制をすれば終わる問題ではない。喫煙者全員が自覚を持ち、取り組むべき問題だ。法学部学生自治会のように、真剣に問題に向き合っている学生もいる。喫煙者と非喫煙者が共存のためにも、まずは自分の行いを振り返り、どうするべきか考えてほしい。