近年、若年層の間で不正薬物の広がりが見られる。
関西、関西学院、同志社、立命館の4大学が実施した「薬物に関する意識調査(2024年度)」によると、学生のうち約12%が「不正薬物を手に入れることができる」、約26%が「難しいが手に入れることができる」と回答している。
こうした状況を受け、兵庫県保健医療部薬務課の薬務対策・捜査班職員に、薬物乱用の現状について伺った。
薬務課は、薬物に関する相談や啓発活動などを行う行政機関である。
若者の薬物乱用について職員は、「友人の誘いや興味本位から乱用を始める人が多い。近年はインターネットの普及により、不正薬物の入手が容易になっている」と指摘する。
さらに、「インターネットには多くの誤った情報が溢れている。インターネット空間では、人と情報が一対一で向き合う状況に陥りやすく、個人で判断をしてしまうことが危険だ」とインターネットの特性についても言及した。
また、大麻については、「海外の一部地域では嗜好品として合法的に扱われている。海外旅行の際に見かけることもあり、大麻に対する心理的ハードルが低い人もいる」と説明する。一方で、「大麻には依存性があり、脳へ深刻な影響を及ぼす。一部の国で大麻が合法化されたのは、その国で規制できないほど大麻が蔓延したという事情がある」と警鐘を鳴らした。
薬物に関する法律や条例を理解することも大切だ。兵庫県では、独自の薬物乱用を防止する条例を制定しているという。
身体に対して危害を与える可能性のある薬物に対して、「国の制度では、成分分析を行い、物質を特定したうえで規制を行うため、認知から規制まで1、2か月のタイムラグが発生してしまう。」と問題点を明らかにした。
続けて「この課題にるため、兵庫県では成分が特定できない危険薬物の販売や使用を規制する条例を設けた。このような危険薬物を販売している店舗を知事監視店として指定し、店舗の名前や所在地を告示している」と説明した。
大学生に向けては、「薬物乱用は心身を蝕み、家族や友人にも迷惑をかけてしまう。名前を聞いたことのない製品には安易に手を出さないこと、迷ったときは一人で判断をしないことを大切にしてほしい。一人の大人として責任のある行動を心がけてほしい」と訴えた。
知人から薬物乱用を勧められた場合については、「きっぱりと断ること、その場からすぐに離れることが大切だ」と助言した。
不正薬物は身近に潜んでいる。あなたは、その危険から身を守れますか。
(杉谷拓樹)

