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混雑緩和と経営改善に取り組む 京都市交通局北村信幸局長

 京都市交通局は京都市営バス(以下市バス)と京都市営地下鉄(以下地下鉄)を運営している。弊部は本学法学部法律学科OBである交通局長の北村信幸さんにインタビューを行った。

 北村局長は2022年4月の着任以来、様々な課題に取り組んできた。

 現在、最大の課題とするのがオーバーツーリズムだ。市バスでは、バス停や車内の混雑が発生しており、市民が生活の足として利用しづらい状況となっている。そこで、北村局長は有名観光地の最寄り停留所だけに停まる「観光特急バス」を導入し、観光客と市民の棲み分けを図った。また、他の公共交通機関に観光客を分散させるため、「バス一日券」を廃止した。北村局長は批判もあったが、今では決断が評価されていると笑顔で語った。

 このほか、「後ろ乗り後払い」から「前乗り先払い」への変更にも取り組んでいる。この変更によって乗降がスムーズになると考えられる。また、交通局は外国人観光客がスムーズに運賃を支払えるように、クレジットカードのタッチ決済とQR乗車券を導入する予定だ。さらに、市民の運賃を割安にする「市バス等の市民優先価格」に取り組んでおり、2027年度の実施を目指している。

 もう一つの課題が経営難だ。交通局は京都市から独立した予算で運営を行う公営企業だ。そのため、運賃収入によって経営を行う必要がある。しかし、市バスの黒字の路線は全路線の30パーセントにすぎないうえに、公営企業のため赤字路線を簡単に廃止することはできない。また、地下鉄建設に係る借金約3000億円を抱えている。さらに、北村局長が着任した2022年は新型コロナウイルス流行の真っただ中で、市バスと地下鉄の乗客数は流行以前と比べて、25パーセント減少していた。そこで、北村局長は経営状況を発信するにあたって、これまでのように膨大な報告書を作るだけではなく、マンガにして伝えようと考えた。そして、「まぢピンチキャラクター」が交通局の職員によって生み出された。これにより、分かりやすく経営状況を伝えることができるようになった。

 このような取り組みを行う北村局長の経歴を伺った。北村局長は高校まで京都市内で過ごしていたため、京都市から飛び出したいという思いで関西学院大学に入学した。大学時代について、人間関係を広げていく力が身に付いたと振り返る一方で、もっと何かに打ち込めば良かったとも語った。北村局長は就職活動をするにあたり、京都で働きたいと考えていた。京都市役所と京都の地元企業の試験を受け、最終的に、京都への愛着と親の世話などから、京都市役所に就職した。

 最初の配属は教育委員会で、年上の校長や教頭とやりとりをする苦労もあったが、自分の働きで世の中が変わることにやりがいを感じていた。

 北村局長は文化に関わる仕事をしていたとき、経済的な視点から前祭と合同で行われていた祇園祭の後祭の山鉾巡行の復活に携わった。大学時代に培った人間関係を築く力を活かし、警察や民間の方と交渉をすることで、後祭の山鉾巡行の復活を実現した。北村局長は権力を伴って行う行政よりも、様々な交渉を通じて行う任意行政が自分に向いていたと話す。また、2017年に当時の皇太子殿下、雅子妃殿下に二条城を案内したことが思い出深いと語った。

 これまで京都市に勤めて良かった点として、北村局長は京都市に勤めていないとできない仕事が多々あることや様々な人に会って話を聞いてもらえるということだと言う。それは、公務員や役所は社会からの信頼性があるからだ。

 京都市の魅力についても伺った。北村局長は京都には歴史や文化が身近にあり、東京や大阪とは違って、「変わらないこと」が評価されると語る。そのような価値観のもとでまちづくりが行われている。

 最後に、北村局長は大学生に向けて、何かに一生懸命取り組むことや、社会や地域に携わる機会があれば積極的に参加してほしいと語った。

(仲悠士)

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