特製のみそだれで食べる餃子。ニンニク不使用で、食べた瞬間大葉の香りが広がる。阪急芦屋川駅から徒歩5分の「Ashiyagawa Taro」にて2月の1カ月間限定で「現役大学生の本気餃子屋さん」が開店した。店主は関西学院大学経済学部4年の木村翔(きむらかける)さん(22)だ。
今回、看板メニューとして選んだ料理は餃子だった。「祖母の味」であり、祖父母の家に行った時には家族みんなで餃子を作る。何度も作り、思い出の詰まった餃子には一番の自信があった。横浜出身の木村さんは、進学を機に一人暮らしを始めた。自炊を重ね、神戸のみそだれ文化との出会いを基にオリジナル餃子は誕生した。
現在は就職活動のために休学中で「この1年を意義あるものにしたい」と考えていた木村さん。幼少期からアクティブな両親に連れられ、牧場体験や海外旅行など様々な体験をしてきた。その中で、「食は文化を超えて人々を笑顔にする」と気付く。飲食店の開業を決意し、昨年11月から構想を練り始めた。食品衛生責任者の資格を取得し、マーケティングについても勉強した。
餃子定食や麻婆炒飯定食などを提供し、ランチとディナーの営業だった。リピート客の中には終了を惜しみつつ最終日のディナーを予約する人もいたという。
実は当初、関学大内でのキッチンカーや新月祭での出店を考えていた。しかし、手続きなどに苦戦し断念。今回の客層は芦屋川という場所もあり経営者を始めとした社会人が多かった。「自分と同じ大学生に食体験を提供したい」という思いは実現できなかったものの、お客さんと話す中で多くのアドバイスを得ることができた。
木村さんは1カ月間の営業を振り返り、「営業を通して、新たな人のつながりができ、食の力の大きさを体感できた」と話した。また、「今回は食で笑顔を届けることのみを考えていた。次回は経営者として、利益をしっかり出すことも意識したい」と意気込んだ。次の出店目標は新月祭だ。(西本明日華)