サイトアイコン 関西学院大学新聞

2020年度交換留学者数0人 3週間で途中帰国した学生も

 新型コロナウイルスの世界的な流行により、全国の大学で留学が中止や延期になる中、関西学院大学も2020年度の交換留学を中止した。関学大の国際教育・協力センター(CIEC)によると、19年度の交換留学派遣者数は169人だったのに対し、20年度は0人だった。

 CIECは昨年春、新型コロナの感染拡大を受け、20年春出発留学の中止を決めた。プログラム内容の関係で既に海外へ渡航していた学生には、3月中旬から4月上旬にかけて、渡航地域別に順次メールを送り帰国を促した。

 CIEC海外留学派遣担当の奥田祐美子さんは「学生にアンケートを取るなど頻繁にやりとりをし、ぎりぎりまで留学を継続させようと動いたが、中止せざるを得なかった」と話す。

 CIECはその後、渡航中止によって生じた費用を奨学金で支援した。更に、20年度に留学予定だった学生に希望を取り、21年春または秋からの留学に振り替えた。

 しかし、21年春出発の留学は、昨秋に派遣中止が決まった。20年度に派遣予定だった学生であっても、振り替えは1度しか適用できないため、21年春出発を希望した学生は留学ができない。なお、振り替えは20年度交換留学で派遣予定だった学生だけに適応されるため、今後の留学プログラムでは同様の措置は一切取られない。

 総合政策学部4年の黒川遥規さん(21)は、20年9月から半年間ラトビアの大学に交換留学し、福祉について学ぶ予定だったが、21年9月に延期になった。黒川さんは「大学生になったら留学したい」と思い続け、英語の勉強など、留学準備に時間を費やしてきた。

 昨年4月、CIECから延期を知らせるメールが届いた。「メールが来る前から『今年は行けないだろうな』と心のどこかで思っていたが、いざ延期すると分かるとショックだった」と話す。

 同学部4年の中井七穂さん(21)は、20年3月上旬にドイツへ渡航し3週間滞在したが、留学プログラム開始前に、帰国を余儀なくされた。3月中旬の段階では、帰国か留学継続かを選択でき、中井さんは継続願を出していた。しかし3月下旬、CIECはヨーロッパへの交換留学生の帰国を決定し、中井さんは帰国した。

 中井さんも、渡航する1年前から、ドイツ語や現地で履修する科目の勉強に時間を費やしてきた。帰国要請の連絡が来た時は「帰りたくない!」という気持ちが強く、帰国してしばらくは精神的につらかったと語る。

 CIEC海外留学派遣担当の北川雄基さんは「CIECには留学経験のあるスタッフが多く、留学を考える学生の気持ちはよく分かる」とし、新入生に対しても「コロナが落ち着いたらすぐに留学派遣を再開できるよう準備している。『関学を選んでよかった』と思ってもらえるような支援をしていくので、気軽にCIECに問い合わせてほしい」と話した。(吉永美咲)

演習に取り組む黒川遥規さん(左)と中井七穂さん=2021年4月8日
モバイルバージョンを終了