今年の4月から新たに学部長に就任した先生方にインタビューをする連載の第二弾として、法学部長の伊勢田道仁教授にお話を伺った。
伊勢田教授は会社法、金融商品取引法が専門である。
―専門分野に興味を持った理由
世の中の経済と法律の結びつきに興味があったことから、現在専門としている分野に興味を持った。
―研究テーマの一つのコーポレート・ガバナンスについて
ダスキン株主代表訴訟事件をきっかけに関心を持った。ミスタードーナツを運営するダスキンの役員が、販売していた食品に日本では認可されていない添加物が含まれていると知りながら、それを隠蔽したことが後日明らかとなった事件だ。近年でも、アメリカのボーイング社の事故など、安全に関するコンプライアンスが問われる場面があった。株式会社は便利な制度だが、コンプライアンスが欠けると深刻な事態に陥ってしまう。
―弁護士として
20年ほど前から大阪弁護士会で弁護士登録をしている。株主代表訴訟や投資者訴訟のみならず、行政事件訴訟や一般民事事件にも取り組んでいる。具体的には、個人タクシーの初乗り運賃やコンテナに対する課税に関する行政訴訟に取り組んだこともある。
―法学部について
関学大の法学部では、法曹養成に加えて、企業法務人材の育成と留学の推進にこれから力を入れていきたいと考えている。
法学部では、現在も企業法務に特化した授業を行っているものの、企業法務担当者との研究会を行うなかで、企業法務人材の不足を感じており、さらに力を入れる必要を感じている。
留学については、文化や言語のコミュニケーションの学習を中心とする留学だけでなく、外国語を使用して専門的な勉強を行う学部間留学についても推進を考えている。現在は、エディンバラ大学春季法律英語研修と中国人民大学法学院交換留学プログラムがあるが、さらに他の国の大学とも協定を結びたいと考えている。
―学生へのメッセージ
伊勢田教授は「現在の社会や経済などの状況がいつまでも続くとは限らない。日本にいると分からないが、海外に出てみると気づくことがあると思う」と話す。
また、「失敗を恐れず、ある程度のリスクをとって挑戦してほしい。自分のことを助けてくれる人や見てくれている人は必ずいる」と力を込めた。
(今村早織)
本取材は11月中旬ごろに実施

