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新任の学部長はどんな方? 第1回/久米暁文学部長

久米暁文学部長=本人提供

 今年の4月から新たに学部長となった先生方にインタビューをする連載の第一弾として、文学部長の久米暁(あきら)教授にお話を伺った。


 久米教授は哲学が専門であり、主に認識論・言語哲学、メタ倫理学を研究している。
 現代では技術の進歩が著しい。AIの倫理、生命操作の是非、環境問題への対応など、従来の価値観だけでは答えられず慎重に議論することが求められている課題が増えつつある。そのような時代にこそ哲学は必要とされるという。
 例えば、自動運転について考えると、5人を轢かないためにハンドルを切ると他の1人を轢いてしまう場合に、どうすることが正しいのかという倫理的な問題を実装前に事前に考えておく必要がある。、哲学の世界では、この問題を以前から議論されているトロッコ問題にあてはめて考える。
 このような現代ならではの課題について、久米教授は「哲学者・倫理学者が考えていた問題の応用版。今も変わらず、哲学の古典を活かすことができる」と説く。
 関学大の文学部には、11の専修があり、多様なアプローチで「人間とは何か」を学び研究している。久米教授は「そのような文学部で勉強するイメージや楽しさを発信し、開かれた文学部を目指したい」と力を込めた。 

(今村早織)

トロッコ問題
倫理判断研究における有名な道徳的ジレンマ課題。ブレーキが故障し暴走してきた列車により、線路上で作業中の5人の作業員がひき殺されてしまうことが予期される状況のときにどういった倫理的に正しい行動と言えるかについて議論が伴う。

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