昨今、たびたび話題となる鳥獣被害。身近なところではカラスやイノシシによるゴミ漁りがある。関西学院大学のキャンパス内でもカラスによるゴミ漁りが問題化し、鳥獣対策を施したゴミ箱を設置する運びとなった。
鳥獣被害の中で、今最も話題になっているのが、熊による被害だ。今年度の熊被害による人の死傷数は過去最悪のペースで増えている。
2023年7月、「OSO18」と名付けられた1頭の熊が北海道釧路町で駆除された。しかし、駆除したハンターに「人間のエゴで可哀想」「他のやり方はなかったのか」と非難が殺到した。
「OSO18」は、釧路町に隣接する標茶町と厚岸町で5年間にわたって牛66頭を襲い、そのうち32頭を殺した。事件を受け北海道は、多くのわなを仕掛けて捕獲を試みたが、効果はなかった。また、ほとんど姿を見せないため駆除も難航した。牧場は電気柵を設置するなどの対策をとった。
長きにわたり北海道に甚大な被害をもたらした「OSO18」。実は、釧路町役場によると批判のほとんどが問題に直面していない道外からのものだった。
ただ短絡的に熊を狩るなと主張する前に、まず事実や原因を知ってほしい。知識を持って、問題にアプローチしていくべきだ。
ゴミの散乱に対しても、同じことが言えるだろう。ネットをかけて被害を未然に防いだり、狩って数を減らしたりすることも必要だが、「なぜ人里に獣が降りてくるのか」や「どうしてゴミを漁るのか」などの根本的な原因を知り、解決に近付けていく必要がある。
関学大では今もなお校舎内や、ゴミ箱のない場所でゴミの散乱が見られる。しかしこれらは鳥獣だけによるものだろうか。奇麗なキャンパスを保ち、過ごしやすい環境をつくるためにも「なぜゴミの散乱が起こるのか」考えてみてほしい。