水垣佳彦社長=2026年7月30日、エム・シーシー食品株式会社本社、渡邊暖菜撮影
エム・シーシー食品株式会社が発売するレトルトカレー、「消防隊カレー」のパッケージの裏側には、減災に役立つ情報が記載されている。これは水垣佳彦現社長が、入社して間もないころに神戸市消防局と共に生み出した商品だ。
水垣氏は神戸学院大学法学部を卒業後、約16年間、他社で勤めた。その後、エム・シーシー食品株式会社に入社し、関西学院大学経営戦略研究科に入学した。入学してすぐ、周囲の学生たちの学ぶ意欲の高さに驚いた。教室は前から席が埋まり、授業では多くの学生が積極的に手を挙げる光景に、衝撃を受けた。
会社勤めをしながら通った2年間は、人生で最も勉強した期間だったという。様々な業界で働く人たちとの交流は刺激的で、現在でも考え方に影響を与えている。
社長就任にあたり、水垣氏は「おいしさで共に未来を創造する会社」をコーポレートメッセージとして掲げた。おいしさに誇りを持ち、社員や地域の人々、消費者と「仲間」のような関係性を築いていきたいという思いが込められている。
エム・シーシー食品株式会社は創業103年を迎えた。長く続く理由について、水垣氏は、各時代における社会課題の解決に取り組んできたことにあると考えている。「消防隊カレー」はまさしく、社会課題を解決するための一歩であり、会社の新たな価値を見出した商品だ。
「消防隊カレー」は、阪神・淡路大震災の甚大な被害に悔しさを抱えた消防局員による、熱意あるプレゼンテーションがきっかけで誕生した。これはメッセージ性を強調した初めての商品企画であった。
水垣氏と消防局員の尽力により商品化が実現すると、社会貢献につながる商品として反響を呼んだ。結果的に同社のブランド価値を上げることにもつながった。水垣氏は、「店頭で手に取ってもらうだけでも減災知識が目に入る。災害について考えるきっかけになってほしい」と語る。
最後に、水垣氏は関学生に向けて、時間に余裕がある大学生だからこそ、時間の価値に気づいてほしいと語る。「時間を無駄にすることなく、何かに打ち込み、勇気をもって挑戦してほしい」と微笑んだ。
(八島みのり)

