西宮上ケ原キャンパスで11月28日、「2025年度 関西学院大学難民映画フェスティバル」が開かれた。主催は関西学院大学人権教育研究室で、国連UNHCR協会が実施する「難民映画祭パートナーズ」の一環として行われた。
上映作品は、ポーランド出身の映画監督、マチュク・ハメラ監督のドキュメンタリー映画『永遠の故郷ウクライナを逃れて』(原題:In The Rearvⅰew)だ。ロシアによる軍事侵攻で故郷を追われ、ポーランドを目指して避難するウクライナの人々を乗せた車の中にカメラを据え、移動のあいだに語られる物語や思いをとらえた作品である。
関西学院大学は2007年からUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と協力し、「難民高等教育事業(RHEP)」を通じて難民学生の受け入れや奨学金支給を続けてきた。2014年度には「第9回UNHCR難民映画祭」の協力上映会を西宮聖和キャンパスで実施し、その後も西宮上ケ原と神戸三田の両キャンパスで難民映画の上映を重ねている。
今年度の西宮上ケ原キャンパスでの上映は、人間福祉学部の武田丈教授が担当する授業「多文化共生論」の一環として実施され、受講生だけでなく一般にも公開された。
武田教授は取材に対し、国際比較調査などで「この一年に難民のために何かしたか」と問われ、「何もしていない」「わからない」と答える人の割合が日本では他国より高いことに触れ、「難民の暮らしを知らない人が多い」と現状を指摘する。そのうえで「難民は遠いどこかの人ではなく、日本にも避難して、共に生活している。今回の上映をきっかけに、身近な問題として考えてほしい」と語った。
作品選定については、ロシアによるウクライナ侵攻から時間がたち、国内の関心が薄れつつあることへの危機感が背景にあったという。「ガザなど他の紛争への関心が高まる一方で、ウクライナの苦しみは今も続いている。その事実を思い起こす機会にしたかった」と話す。
武田教授は、難民を巡る情報環境にも注意を促した。SNSを中心に、難民を非難する排外的な言説が多く流通している現状がある。「何が事実なのかを見極めるファクトチェックの姿勢が欠かせない。信頼できる情報源に当たり、そのうえで難民の現状について考えてほしい」と学生たちに呼びかけた。
同作品は12月5日に神戸三田キャンパスでも、別の授業の一環として上映され、二つのキャンパスで学生が難民と向き合うきっかけになった。
戦火からの脱出という極限状況の中で揺れる車窓と、後部座席から聞こえてくる声は、私たちが目にする難民という言葉の背後に、一人ひとりの人生があることを静かに問いかけている。
(中泉奏士)

