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【万博】未来の技術でいのちを救う PASONA NATUREVERSE

 大阪・関西万博の会場にひときわ目を引く白く曲面的な建物がある。総合人材サービス大手のパソナグループが出展するパビリオン「PASONA NATUREVERSE」だ。 1日に約1万人が訪れるという。

 パビリオンのコンセプトは「いのち、ありがとう」。副館長で本学OGの人見知佳さん(総合政策学部卒)に案内していただいた。

 「過去から現在、未来社会に旅をしていただけます」。館内に入った最初は「いのちの歴史ゾーン」、真っ先に「生命進化の樹」が目に留まる。

生命進化の樹=2025年8月20日、西ゲートエリア、田爪翔撮影

 地球の生態系を10の段階で表しており、いのちの循環を視覚で体感できる。生命誕生から人類の誕生、インターネット、AIの進化と現在に繋がる。そして、いのちの誕生、消滅、そしてさらなる循環と未来を表している。

 少し進むと、世界最大級のアンモライトの展示があり、天井を見ると数千の糸の束がパビリオンの奥へ伸びている。糸の本数は2063本で、たどった先の二つの展示に関係がある。

世界最大の大きさのアンモナイト=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 その展示は、広島の原爆資料館にある被爆者の遺品を実物より大きくして作られた懐中時計と万年筆だ。「2063本というのは原爆の実験回数です」。パソナ館はいのちの過去も忘れない。

 次に進むと「からだゾーン」に入る。パビリオンのナビゲーターを務めるのは、アニメキャラクターの「アトム」に「iPS心臓」を移植して生まれ変わった「ネオアトム」だ。「からだゾーン」の最初は彼らの映像から始まる。

ネオアトムの誕生が映像で流される=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 次の場所では再生医療の第一人者である大阪大学名誉教授の澤芳樹先生が開発するⅰPS心臓と心筋シートがある。近くで見ると実際に拍動している様子を見ることができる。

iPS細胞で作られた心筋シート=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影
iPS細胞で作られた人工心臓=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 その後の展示では、「空飛ぶ手術室」、「装着型ロボットHAL」や遠隔操作できるロボットなど未来への実用化が進められている技術が並ぶ。

装着型ロボットの展示=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 パソナ館の最後は「こころ・きずなゾーン」。本パビリオン最大のショー「NATUREVERSEショー」で25個の動くキューブに映し出される映像は、韓国の企業がてがけた。キューブが配置を変えながら映像と連動する姿は目を奪われる。

メインショーで現われたブラックジャックとネオアトム=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 人見さんは特に見てほしいところの一つに“パビリオンの建物”を挙げている。「直線の鉄骨をいくつも使って曲線でくみ上げた建築に膜を張るという難しいことをしている」。建築会社との綿密な打ち合わせが完成に結び付いたと語る。

 最新の3Dのモデルを使ってパビリオンの最大の特徴であるアンモナイトの「螺旋形状」を描いている。最初の「いのちの歴史ゾーン」ではあえて鉄骨がむき出しになっている。

生命進化の樹とむき出しの鉄骨=2025年8月20日、パソナ館内、田爪翔撮影

 このパビリオンは閉幕後、工場での点検を終えた後、パソナグループが現在、地方創生の取り組みを進めている淡路島に移築される。人見さんは学生に向けて「学生時代は時間がたくさんある。関学は万博会場に近いのでぜひ関学生の皆さんに来ていただき、万博でしか味わうことのできない体験をしてほしい」と話した。

(田爪翔・今村早織)

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