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国際ボランティア派遣中止 落胆も、今できることを

 「これからどうしたらいいんだろう……」。およそ1年前、関西学院大学国際学部4年の中島はなさん(21)は無力感に襲われた。世界中で新型コロナウイルスが感染拡大した影響で、2020年4月から始まる予定だった国際社会貢献活動が中止になったからだ。

 同活動は、主に東南アジアの開発途上国でボランティア活動をする関学大独自の留学プログラム。春学期または秋学期の約5カ月間、現地の教育機関や非政府組織(NGO)の職員として活動できる。 

 中島さんは入学前から活動に参加したいと考えていた。1年生の時から、海外へ語学研修に行くなど英語学習に力を入れてきた。また、途上国の現状を理解するため、同大が主催するベトナムでのフィールドワークにも参加した。

 20年3月中旬、活動を主催する国際教育・協力センター(CIEC)から派遣中止を知らせるメールが届いた。「派遣学生みんなが、わずかな希望を持って過ごしていただけに、落胆の声は多かった」と振り返る。派遣は21年秋学期に延期となった。

 想定外の1年を中島さんは「中止になって良かった、と今なら思える」と振り返る。渡航が中止になり落胆していた時に、同学部の先輩からあるオンラインイベントを紹介された。

 日本語を学ぶマレーシア人学生と、英語を学ぶ日本人学生との文化交流イベントで、中島さんは他大学の学生と共に、イベントの企画や運営をした。

 「オンラインイベントに参加して、国内外に人脈が広がった。イベントの企画力や運営力など国際社会貢献活動で必要なスキルをさらに高めることができた。渡航前にこうした経験ができて良かった」と吹っ切れた。

 CIECによると、19年度の派遣者数が12人だったのに対し、20年度は0人だった。海外留学派遣担当の葉佐賢太郎さんは「学生は、このプログラムのために約8カ月間、学業と両立して事前準備をしてきた。その努力を知っている分、中止・延期の判断はとても心苦しかった」と話した。(吉永美咲)

中島はなさん=2019年11月、マレーシア

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