2023年9月18日は国民の祝日の一つである敬老の日である。老人を敬愛し、長寿を祝う日として広く知られるこの祝日。実は、「一般国民に対して自らの老後に対する自覚を与える」という趣旨も含んでいる。高齢化が急速に進む今、全世代が自らの老後について考える必要がある。
25年、第一次ベビーブーム時に生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、日本は類を見ない超高齢化社会に突入する。人口の高齢化は労働力不足や医療体制の崩壊を引き起こしかねない。
現在、現役世代は更なる社会保障費の負担や労働が強いられる一方で自身の老後への保障は確約されていない。そのため、現行の社会保障制度を当てにするのではなく各々が自立して生活することが求められる。
人生100年時代の生き方のアドバイスを記した本「ライフ・シフト」の著者リンダ・グラットンは、日本のインタビューで若い世代に向けて「いま若い人たちは長い人生で『自分には何ができるのか』『どれだけいろんなことができるのか』を問われている」と答えた。様々なことを学習し自分の選択肢を増やすこと、自分だけのスキルを身につけることが、人生を最大限に活用するために必要であるという。
スキルというのは生活するためのお金を得るために役立つ資格や技術から、変わりゆく環境に対応する能力まで幅広く捉えることができる。
これらのスキルは、様々なことに挑戦できる学生の期間にも身につけることができる。著者自身、重度障害を持つ人々の生活をサポートするアルバイトを通して、重度訪問介助の資格を取得した。また、介助と家事全般、そして利用者と円滑に交流するためのコミュニケーションスキルを身に着けている最中だ。
高齢化が急速に進む中、私たち一人一人が自分の人生を自分の手で守る時代になってきている。老後に必要となるものは貯蓄やいざという時に頼ることができる人間関係だけではなく、新しいものを学び続ける姿勢や自らのスキルだ。人生を生き抜く力を身につけるタイミングに早すぎることはない。